フラットな組織への変革にも有効な、Slackによるビジネスコミュニケーションとは?
――日本語版リリース後、順調にユーザー数を増やしていますが、その背景についてお聞かせください。また、主にどのような業種、職種で活用されているのでしょうか?
佐々木聖治氏(以下、敬称略):Slackのローカル言語版のリリースは各国で進められていますが、日本語版のリリースは世界でも早いほうです。その背景には、英語版のままで使っている日本企業が多かったことがあります。Slack自身、誕生から5年と若いサービスですが、2017年の時点で、日本国内で30万のアクティブユーザーがいました。口コミでSlackを知り、わざわざ日本語版がある他のコミュニケーションツールではなく、Slackを使ってくれていたのです。ならば、日本語版をリリースしようということになりました。現在では、約50万のデイリーアクティブユーザーがいます。これは、Slackを展開している国の中でも、2番目の数です。
Slackを使われている企業の特徴は、業種、業態を問わず、イノベーションを牽引する企業だということです。製造業やハイテク企業、メディア関連企業なども目立ちます。大手自動車メーカーの部品サプライヤーである「武蔵精密工業株式会社(MUSASHI)*1」様は、いわゆるレガシーなメーカーだったのですが、自動車業界そのものの地殻変動もあり、社長の指示で社内改革に取り組んでいます。かつての階層構造の組織ではなく、フラットな社内体制を作ろうとしている。そこで部門を超えたコミュニケーションを実現するツールとしてSlackを導入いただいています。
*1: 武蔵精密工業株式会社(MUSASHI)のSlack導入事例のリリース
これまで社内で、部門内で知恵を絞っていた会社も、それだけでは生き残れなくなってきています。そこで、社内の部門を横断して、さらには社外も含めたコミュニケーションツールとして、コラボレーションを生み出すハブとして、Slackがその役割を担っているという話を多く聞きます。
――学生さんでもSlackを使っている人が多いと聞きました。
佐々木:2018年に開催されたJPHACKSという全国7都市で500人くらいの学生が集まるハッカソンがあります。その運営では、Slackを活用して各地のハッカソン間のコミュニケーションを取っています。運営する学生さんから「来年はSlack上で作る連携アプリをテーマにしてはどうか」という声が出るほど、学生さんが使いこなしています。感度が高い学生さんが使いこなしていることはうれしいことです。
また最近の転職市場でも、どんな社内コミュニケーションツールを使っているかは、転職先を選定するときのポイントの一つになりつつあります。それを知れば、ある程度その企業の社内の様子、コミュニケーションの仕方、社内の組織カルチャーが想像できるのかもしれません。
――なるほど、コミュニケーションツールが、その会社を理解する尺度の一つになるのですね。