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自律型人財に必須の“VRA”とは?

大企業から新規事業が生まれにくい理由──イノベーションを生み出す人財の行動原則“VRA”とは?

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 今、日本で「新規事業開発」という言葉を聞かない日はありません。多くの企業で新規事業開発部門を設置し、社内ベンチャー制度やアイデアコンペティション、オープンイノベーション、アクセラレータープログラム、デザインシンキング研修など、様々な打ち手を実行しています。しかし、どれも有効に見えるにもかかわらずなかなか成果に結びつかないケースが多いのではないでしょうか。私たちもコンサルティングファームとしてお客様の新規事業開発を支援することが年々増えていますが、直面するのは「新規事業を立ち上げる」という課題に対して、適した人財が社内で発掘できない、育てられないという事実です。仕事へのモチベーションは高い人財が事業開発に取り組んでいるのに、なぜこうなってしまうのか。プロセスに問題があるのか、そもそも人財とミッションがアンマッチなのか。  本コラムでは、多くの企業が直面するこのような状況を「人財のマインド・行動」という観点から掘り下げ、その突破口となりうる行動原則「VRA」についてお話していきたいと思います。

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イノベーションを生み出す人財に必要な3つの行動原則“Visioning”“Reflection”“Action”とは?

 日本人は0から新しいもの創るのが大の苦手だとよく言われます。ごく稀に、天才的な発想を持つ人や、強い情熱を持って追求する人から新商品が生まれることもあるかもしれませんが、通常はアイデアを生み出すことすら四苦八苦してしまいます。私たちのお客様からも「社内ベンチャー制度への応募件数が年々減少している」「ベンチャー企業と接点は増えたものの事業はまだ生まれていない」「新たな思考法を身につけた社員が増えているが新規事業がなかなか生まれない」といったお悩みが多く寄せられます。これらに対し仕組みや制度、研修の内容を改善するのも一案ですが、私たちは人財のマインド・行動がキードライバーとなると考えています。

 与えられた課題や役割を着実に遂行するだけではなく、自社の事業や顧客、業界全体、さらに社会と言った視点で課題を見出し、その解決に向けて自ら試行錯誤する。こういったマインドや行動を備えた人財が新規事業に取り組むことで、新規事業開発のスピードを早め、成功確度を高めると考えています。私たちはこういった人財を「自律型人財」と呼び、彼らに共通する行動原則をご紹介したいと思います。

 自律型人財の行動原則は主に下記の3つです。

  • Visioning:自らの軸を明確にする
  • Reflection:自己や状況を客観視する
  • Action:VisioningやReflectionに基づいて試行錯誤する

 これら3つをセットにして「VRA」といいます。まずはそれぞれの概要について説明していきます。

 まず、「Visioning(ビジョニング)」です。個人やチームのビジョンを明確にするためのプロセスを表します。自らの内にある想いと向き合い、それを言語化し、「なぜそれをやりたいのか」「その先にどんな世界を実現したいのか」と自分に問いかけることで、自らのビジョンを引き出し、明確で納得感のあるものに磨き込んでいきます。

 次に「Reflection(リフレクション)」です。自分自身についてだけでなく、他者の想いや行動、置かれている状況や環境など、周囲の事柄も含めて観察する行為です。発見する、変化に気づく、新たな意味を見出す、といったことも含まれます。振り返りを習慣化し、自己変容に取り組む一連の行為を「Reflection」という言葉で表しています。

 そして「Action(アクション)」です。単に「行動する」だけではありません。ビジョン実現のため、または Reflectionを経て気づいた自己課題を解決するために、アクションプランを立てて行動します。そして、その結果をさらにReflectionし、新たな行動へとつなげる。このように、実現したいことに向けて行動し続けていくプロセス全体を「Action」としています。

 ビジョンを描き、振り返りと行動を繰り返す。これは、長年にわたり仕事の基本的な進め方とされてきた「PDCAサイクル」と似ていると思われるかもしれません。しかしPDCAを回しているだけでは新しい事業は生まれません。次に、新規事業になぜVRAが必要なのか、PDCAだけではなぜ難しいのか、といったPDCAとVRAの関係性を見ていきたいと思います。

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この記事の著者

杉山 誠(スギヤマ マコト)

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