「サラリーマンは不死身」と気づくまでに身につけた、プログラマーが社内起業家になる生存戦略とは?

第14回対談ゲスト:ソニックガーデン代表取締役社長 倉貫義人さん【中編】

 トラリーマンとは「会社員の虎」。「組織の中にいながら、既存の枠にとらわれず突き進み、社内外で価値を生み出していく」という新たな働き方として、注目を集めている。その名付け親である、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者の藤野英人氏がトラリーマンの“モデル1号”に認定した楽天大学学長の仲山進也氏だ。当連載では、その仲山氏が気になるトラリーマンたちを訪ねながら、その働き方の極意や共通項を探る。
 連載の14人目に登場するのは、大手システム会社に15年ほど勤め、自ら立ち上げた社内ベンチャーをMBOして独立を果たした倉貫義人さん。会社員時代に挑んだ“働き方改革”の挑戦とは。全3回の中編。

[公開日]

[語り手] 倉貫 義人 仲山 進也 [取材・構成] 宮本 恵理子 [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 トラリーマン

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

役員のお墨付きでアジャイル開発が公認に。技術系の新部署立ち上げに携わる

仲山進也さん(以下、敬称略):プレゼンをやってみて、役員の皆さんの反応は?

倉貫義人さん(以下、敬称略):ウケました。意外だったのは、「俺たちの若い頃の仕事の仕方はそうだったよ」とすぐ共感してもらえたこと。30年くらい前に会社を創業した頃のワチャワチャした感じを経験していた人たちは、システム開発にアジャイルが向くことは感覚的に理解できたみたいで。年配ウケするんだなというのが発見でした。一方で、会社が上場した後に入ってきたマネジャー層は、「いやいや、きちんとプロジェクトマネジメントしないとダメでしょう」と考える人が多くて、なかなか理解してもらえない。そういう構造が見えてきました。

仲山:役員の理解を得られたことで、変化はありました?

倉貫:風向きは変わりましたね。その直後に、基盤技術センターという研究開発系の部署を立ち上げることになって、その立ち上げメンバーに僕も呼んでもらえたんですよ。周りはすごい年上のエキスパートばかりでしたけれど混ぜてもらえて。そこでアジャイル開発もやっていいという“公認”をもらえて、草の根運動がついにオフィシャルに。社外の勉強会で「TISの倉貫です」と堂々と言える立場になりました(笑)。

仲山:アジャイル開発の社内展開もうまくいったんですか?

倉貫:それが大きな壁に当たったんですよね。お客さんから受注したプロジェクトをアジャイルで開発していくとき、普通は優先順位が高い機能から作っていくので、50%くらいできあがった段階でかなり満足度の高いものになっているんですね。すると、「残りの50%の機能A、要る? それより、別の新しい機能Bを作った方がいいよね」と話が進むんです。ところが、受注の内容はそうなっていないから、「機能Bも欲しいけれど、機能Aも作って」となっちゃう。いやいや、やること増えてるでしょ?って(笑)。

仲山:結局、契約自体が、やることを全部先に決めるウォーターフォール型だから、その影響を受けちゃったと。

倉貫:そうなんです。結局、お客さんのリスクを最大に見積もって受注して、はじめの約束通りに納品することで利益が成り立つビジネスモデルなのだとあらためて気づいて愕然としました。

仲山:サッカーやっているつもりの場所が、野球場だったような感じですね。「あれ、ゴールがない」的な。

タイトルソニックガーデン代表取締役社長 倉貫義人(くらぬき・よしひと)さん
1974年京都生まれ。1999年立命館大学大学院を卒業し、TIS(旧 東洋情報システム)に入社。2003年に同社の基盤技術センターの立ち上げに参画。2005年に社内SNS「SKIP」の開発と社内展開、その後オープンソース化を行う。2009年にSKIP事業を専門で行う社内ベンチャー「SonicGarden」を立ち上げる。2011年にMBOを行い、株式会社ソニックガーデンの創業を行う。月額定額&成果契約で顧問サービスを提供する「納品のない受託開発」を展開。全社員リモートワーク、オフィスの撤廃、管理のない会社経営など新しい取り組みも行っている。著書に『管理ゼロで成果はあがる』『「納品」をなくせばうまくいく』など。ブログ https://kuranuki.sonicgarden.jp/

バックナンバー