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投資家思考とは何か

“インターネットの外”が競争の主戦場──投資家・蛯原氏と山口周氏が語る「テクノロジー思考」とは?

ゲスト:リブライトパートナーズ 代表 蛯原 健氏 × 山口 周氏【前編】

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もはやインターネットは成長産業ではない

山口周氏(独立研究者/著作家/パブリックスピーカー/ライプニッツ代表、以下 敬称略):蛯原さんの『テクノロジー思考』は、投資家として戦場に出て闘っている人ならではの臨場感がありますね。デジタルやインターネットについてこういう角度から書いている人は珍しいです。

蛯原健氏(リブライトパートナーズ 代表取締役、以下 敬称略):ありがとうございます。

山口:例えば「インターネットは成長産業ではない」という指摘は、投資家ならではの見方です。日本のインターネット普及率は2013年に80%を超えて以降、年に1%も増えずにフラット化している。人口は減少しているのだから、日本のインターネット利用者数はすでに減少に転じているのだという話など、言われてみれば当たり前のことですが、それをきちんと断言する方は少なく「なるほどな」と。世界で見てもインターネットはもう成長産業ではなく、これから成長するのはUmberやAirbnbのようなリアルとの連携で価値を出していくビジネスなんだ、という話でしたね。

蛯原:はい。

山口:イノベーションの需要の高まりが「イノベーションのインフレ」を引き起こし、一方でそれが「失敗のデフレ」を起こしている。つまり、失敗のコストが劇的に下がった結果、失敗を回避することで生じる機会費用の損失のほうが相対的に大きくなっているという話も、すごく本質的です。

 拙著『ニュータイプの時代』にも書きましたが、Amazonは上場以来70個の事業に手を出して、そのうち3分の1は失敗してすぐに撤退している。あれは、失敗も見込んでたくさん試している、ということですよね。

 まだ日本では失敗してはいけないと考えている企業が多いけれど、蛯原さんのように「何が価値で何がコストなのか」という世の中の構造の捉え方をすると、あれだけバシッと言い切れる。それがものすごく痛快でした。

蛯原:この本では、あえて必要以上に強く「言い切る」ことにこだわりました。「インターネットはもう成長産業じゃない」というのも、「いや、ARPU(顧客当たり単価)を上げれば成長できるじゃないか」とかいろいろ論破しようと思えばできる。でも、あえて断言することで新たな議論や思考が喚起されればいいな、と思って。

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