“金の延べ棒”は、在ると思わなければ存在しない
──日本の大企業でも自らのリソースの範囲で興せるイノベーションがあるということですね。そのために必要なことは何でしょうか。
濱口:特に日本人には必要だと思いますね。世界でいろんな人と会って仕事をしてきましたが、人それぞれながらも“お国柄”を感じる場合があります。たとえばイスラエルの人たちは常識を疑ってみるし、「自分なりの結論を出すこと」にこだわりが強いんです。結果、様々なイノベーションを生み出してきました。一方、日本人は素直で協調性も高い。ある意味ではいいことでもあります。しかしイノベーションという点では、“常識”を信じ込むという弱点になるでしょう。意図的に「本当にそうなのか?」と問い続ければ、いつしかバイアスを破壊することにつながり、さらに考え抜いたところにすばらしい答えが見つかるでしょう。