なぜソニーは新たにPurposeを掲げたのか──“多様性”を強みに変えるソニーの「存在意義」

 いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=Purpose(パーパス)”を再定義して「何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは、技術革新や時代の変化によって消費者ニーズや価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。
 とはいえ、ミッションとの違いやPurpose策定による組織と人への影響はわかりにくいかもしれません。そこで、『パーパス・マネジメント-社員の幸せを大切にする経営』の著者で、Ideal Leaders株式会社のCHO (Chief Happiness Officer)である丹羽真理が、2019年1月に『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeを掲げたソニー株式会社の広報・CSR部シニアゼネラルマネージャー今田真実氏に、Purposeを掲げた背景や思いを聞きました。

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[語り手] 今田 真実 [聞] 丹羽 真理 [取材・構成] 田村 朋美 [写] 和久田 知博 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] マネジメント ビジョン ミッション パーパス 経営

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多角的な事業を展開するソニーの軸にあるのは、テクノロジーと“人”

丹羽真理氏(Ideal Leaders株式会社 CHO 以下、敬称略):ソニーは2019年1月に、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeを掲げました。ここに込められた思いや意味を教えてください。

今田真実氏(ソニー株式会社 広報・CSR部シニアゼネラルマネージャー 以下、敬称略):ソニーは「技術の力で人々の生活を豊かにしたい」という創業者の強い思いから生まれた会社です。その志や夢に共感したエンジニアが集まり、人の心を動かす様々なヒット作を生み出してきました。その結果、現在は音楽や映画、ゲーム、アニメなどのエンタテインメント事業や、エレクトロニクス事業、金融や「プレイステーション ネットワーク」などのDirect to Consumer事業など、多岐にわたる事業を展開する企業グループとなりました。

 多様な事業に関わる世界約11万人の全社員が、同じ長期視点を持って価値を創出していくためには、「ソニーとして何を目指しているのか」「何のために存在するのか」という共通認識が必要です。そこで、あらゆる事業の軸は“人”にあり、“人の心を動かすこと”こそがソニーの存在意義であることを明文化すべく、2018年4月にCEOに就任した吉田(憲一郎氏)が「Sony’s Purpose & Values」を策定しました。

丹羽:ソニーはエレクトロニクスから始まった企業なので、掲げられているPurposeで“テクノロジー”より“クリエイティビティ”という言葉が先に来るのは意外でした。あらゆる事業の軸は人だからこそ、この順番になったのでしょうか。

今田:ソニーのアイデンティティは『テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー』なんですね。多様な事業のすべての基盤にテクノロジーがありますが、人の心を動かすのはクリエイティビティであり、それを作るのは“人”です。感動を作るのも“人”で、感動するのも“人”ですよね。 もちろん作る側は、ソニー社内のクリエイターだけでなく、ビジネスを作る人や、社外のパートナーとしてゲームや映画を作る人・ミュージシャンなど、ソニーと一緒に価値を創出するすべての人を含みます。Purposeを実現させるための経営方針を「人に近づく」という言葉で表現しているのですが、関わるすべての“人”に近づくことであらゆる領域で感動を創出したいという想いが、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeにつながりました。

ソニー株式会社 広報・CSR部シニアゼネラルマネージャー 今田真実氏ソニー株式会社 広報・CSR部シニアゼネラルマネージャー 今田真実氏

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