多角的な事業を展開するソニーの軸にあるのは、テクノロジーと“人”
丹羽真理氏(Ideal Leaders株式会社 CHO 以下、敬称略):ソニーは2019年1月に、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeを掲げました。ここに込められた思いや意味を教えてください。
今田真実氏(ソニー株式会社 広報・CSR部シニアゼネラルマネージャー 以下、敬称略):ソニーは「技術の力で人々の生活を豊かにしたい」という創業者の強い思いから生まれた会社です。その志や夢に共感したエンジニアが集まり、人の心を動かす様々なヒット作を生み出してきました。その結果、現在は音楽や映画、ゲーム、アニメなどのエンタテインメント事業や、エレクトロニクス事業、金融や「プレイステーション ネットワーク」などのDirect to Consumer事業など、多岐にわたる事業を展開する企業グループとなりました。
多様な事業に関わる世界約11万人の全社員が、同じ長期視点を持って価値を創出していくためには、「ソニーとして何を目指しているのか」「何のために存在するのか」という共通認識が必要です。そこで、あらゆる事業の軸は“人”にあり、“人の心を動かすこと”こそがソニーの存在意義であることを明文化すべく、2018年4月にCEOに就任した吉田(憲一郎氏)が「Sony’s Purpose & Values」を策定しました。
丹羽:ソニーはエレクトロニクスから始まった企業なので、掲げられているPurposeで“テクノロジー”より“クリエイティビティ”という言葉が先に来るのは意外でした。あらゆる事業の軸は人だからこそ、この順番になったのでしょうか。
今田:ソニーのアイデンティティは『テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー』なんですね。多様な事業のすべての基盤にテクノロジーがありますが、人の心を動かすのはクリエイティビティであり、それを作るのは“人”です。感動を作るのも“人”で、感動するのも“人”ですよね。 もちろん作る側は、ソニー社内のクリエイターだけでなく、ビジネスを作る人や、社外のパートナーとしてゲームや映画を作る人・ミュージシャンなど、ソニーと一緒に価値を創出するすべての人を含みます。Purposeを実現させるための経営方針を「人に近づく」という言葉で表現しているのですが、関わるすべての“人”に近づくことであらゆる領域で感動を創出したいという想いが、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurposeにつながりました。