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宇田川准教授が紐解く「知の探索」──意思決定の本質から組織の問題を解消する「情報への接し方」とは?

ゲスト:埼玉大学経済経営系大学院 准教授 宇田川元一氏

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不確実な事業環境を観察することの難しさ、情報の多義性

宇田川元一埼玉大学経済経営系大学院 准教授 宇田川 元一氏

──意思決定に必要なさまざまな事象や断片を観察するといっても、どのようにすればいいのでしょうか。

宇田川:観察のヒントは「情報」です。R・L・ダフトとR・H・レンジェルという研究者が、「不確実性と多義性」という概念を提示しています。不確実性とは「情報の量が不足している状態」のことです。不足しているのであれば必要な情報を集めればいい。でも、どんな情報が必要かわからない場合、「必要な情報に関する多様な解釈がある状態」になり、それを多義性としています。この「何が必要かわからない」という状況では、いろいろと情報を集めても、そのつながりがわからないですよね。

 たとえば、このコロナ禍では感染者数などの基礎的な情報不足は解消されました。でも、「失業者数」や「感染者数」など、個々の事象がどのようにつながっていて、どのように解釈でき、どんな問題を解消すればいいのか。さまざまな見方・やり方があり、手探りの状況が残っていますよね。

 つまり「わからない」という状態には、大きくわけて2つあるということです。1つは「点が足りない」、絶対的な情報量が足りない状態です。もう1つは「点と点を結ぶ線が引けない」、いろいろと調べて情報を集めてもつながりがわからないという状態で、混乱とも呼べるものです。

──多くのビジネスパーソンが不確実な事業環境や組織の複雑な課題に対して、どんな情報が集めればいいかわからない。よくある状況です。

宇田川:そうですよね。点と点に関連があるとわかっただけでは、「意味がある」という実感を伴ったつながりを見出すことはできません。たとえば、「離職者が多い」「新規事業アイデアが出ない」などが「点」だとすると、これら複数の点の間もしくは背後に、一階層別のところで共通した問題が存在することがあります。このような解釈をすることが、「点と点に線を結ぶ」起点になるのです。点を集め背後にあるつながりを見出し、背後の問題を発見することが重要で、これこそが「知の探索」でしょう。

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不慣れな情報に触れることで“点と点を結ぶ”という、新たなリテラシー

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