オンラインでも有効な高い接客スキルが生む、買い物体験
このようなリテール業界の変化の中で、成長の起爆剤とも言えるDXは今後どうなっていくのか。先に「そう一気に加速すると限らない」と語った今村氏は、「業種、業態によって状況はまったく異なる」と語る。
「かつては家族で出かけるなら百貨店だったのが、Withコロナの生活環境では近所のスーパーになった。社会情勢が変われば小売業の存在価値も変化するのは必然で、業界変革が進む中で各企業も一からビジネスを考え直す必要がある。そして、既にクラウドも普及し、GoogleやAmazonといったプラットフォーマーも存在する。インフラとしてのテクノロジーが進化した環境のもとで考えることになり、自然とデジタルトランスフォーメーションを意識せざるを得ない状況にある」(今村修一郎氏)
さらに前述のような「過去のデータ」の価値が減少し、誰もがゼロスタートという立場になれば、新しく登場した事業者がいきなり業界地図を塗り替えていく可能性もある。これまで「オフラインだけでいい」としてきた事業者も、必死にオンライン化を考えるようになるだろう。そうなった時、コロナ禍によって口火が切られる形で小売業のオンライン上での熾烈な争いが始まると考えられる。