日本企業で「共同化」の原動力が不足している理由
加藤:最近はSECIモデルがうまく機能している例をあまり聞かないというお話がありましたが、なぜなんでしょうか。
梅本:「共同化」という、最初の越境が起きる原動力が不足しているんだと思います。原動力は、やはりトップのリーダーシップなんですよね。日本企業が非常に強くて成長を続けていた時代は、みんなが大きな物語を共有してトップと現場が握り合えていました。その都度トップが強いビジョンを出さなくても、現場の人たちがまさに暗黙的に理解して越境していくことができたんだと思います。でも今は共通の物語というものがないですから、トップ自ら物語を語り、フォロワーたちをその物語の登場人物として招き入れ、「越境していいんだ」というメッセージを出さないことにはSECIは回らないでしょう。