“多言語体験”を実現させた国内外の先進企業事例
実際に多言語体験をWebサイト上で実現した日本企業は、どんなことを行ったのだろうか。小林氏がまず紹介したのは、インクジェットプリンターなどの製品やサービスを提供しているローランド ディー.ジー.株式会社だ。元々、アジア・中東・アフリカ地域にもサービスを提供していたローランド ディー.ジー.は、顧客へのサポート体制を強化したいという希望があり、Webサイトやオウンドメディアに8言語での対応追加を計画した。しかし既存のWebサイトに8言語も追加するとなると、通常であれば非常に時間とコストがかかる。そこでローランド ディー.ジー.は「WOVN.io」を活用。既存のWebサイトにアドオンすることによって、わずか3ヵ月で8言語での対応を可能にしたという。
多言語体験を顧客向けではなく、従業員向けに行った企業もある。富士フイルム株式会社は、コロナによって在宅ワークが進み、社内のコミュニケーションの方法が変化して、海外の従業員に直接コミュニケーションがしにくくなる中、「WOVN.io」を活用してイントラサイトを多言語化し、企業理念やトップメッセージを伝えることに役立てている。企業がダイバーシティー化を進めていくと英語を使えない外国人社員も増えてくるため、こういった多言語化の対応によって企業内のコミュニケーションを加速することは、企業の成長にプラスに働くと、好評だという。
外資系企業の日本法人が「WOVN.io」を活用してWebサイトを多言語化し、ビジネスを円滑にしたという事例もある。Zuoraはサブスクリプションビジネスに最適化されたSaaSアプリケーションを提供する米国企業である。日本でも利用する企業が多いが、本国と日本とで、重視する領域が違うことがあり、顧客対応のために本国に情報のアップデートを依頼しても対応にタイムラグが出るという悩みがあった。そこに「WOVN.io」を導入してドキュメンテーションサイトをローカライズしたことにより、情報の更新を簡便に行えるようになったそうである。
世界で進むDX。DXを単にデジタルに置き換えるものとして捉えるのではなく、新たな価値創造につなげるために、多言語化体験に目を向けて見てはどうだろうか。小林氏はそうまとめ、講演を締め括った。