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クアルトリクスが提唱する「モダンCX経営」──コロナ禍の小売業に必要なデータ取得と体験の設計とは?

Biz/Zine Day 2020 Autumn レポートVol.10:クアルトリクス合同会社 久崎智子氏

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顧客を“購入者”から“熱狂的なファン”に変えるモダンCXとは

 SaaS企業の躍進を背景に、カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)の重要性は多くのシーンで語られるようになり、CXという概念自体は目新しいものではなくなった。しかし、アンケート調査などで企業のCEOが思うほどには、顧客は「すばらしいエクスペリエンスを提供されている」と認識していない。この認識のギャップを埋めていくことが必要だが、どうやったら顧客が喜ぶCXを提供できるのだろうか。ここで久崎氏が指摘するのが、「従来型CX」と「モダンCX」の違いである。

 従来型CXの考え方だと、「顧客」が意味するのはお金を出してくれる人、つまり「購入者」だ。店舗での一期一会に対するソリューションであり、そのときに店舗でいくら支払ってくれるかを重視し、マニュアルやルールを整備し、どんな購入者に対しても均一のサービスを提供できるように徹底する。顧客を笑顔にすることに関しては担当者個人の力量に任せている。いわば、勘と経験と度胸が重要だという考え方だ。

 一方、クアルトリクスが考える「モダンCX」では、顧客を「熱狂的なファン」や「サポーター」だと捉える。店舗での体験だけではなく、ライフスタイル全般を見て、その時々に合わせた超・個別化したサービスを行うことを目指す。それによって、感動的で期待を超える体験を提供することが重要だと考えるのである。こういったモダンCXを行うためには、勘と経験と「度胸」ではなく、勘と経験と「データ」が必要となる。

「単純な例で説明すると、私は今、こうやってお話ししているので喉が渇いて水が飲みたくなっています。でも、あと数十分後には講演を終えるので、シャンパンかビールかで乾杯したいなと思うでしょう。同じ人間が求めるものでも、たった数十分の間にこのように変わります。十人十色という言葉がありますが、今の時代は十人百色にも千色にもなるのです。そういう相手に対して超・個別化されたサービスを提供するならば、データを駆使する必要が出てきます」

モダンCX

 そこで、クアルトリクスは顧客の「うれしかった」「楽しかった」等の感情や心理に関するデータを「Xデータ(エクスペリエンス・データ)」として取得し、活用することを提案。Xデータを活用してモダンCXを提供することを推奨している。

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