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日立ソリューションズが語る、企業に眠るビジネスデータを活用した「オープンイノベーション3.0」

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「1対多」のオープンイノベーション3.0実現に向けた大企業の課題

──お二人が実現に向けて取り組んでおられる「オープンイノベーション3.0」とはどのようなものでしょうか。

小林大輔氏(以下、敬称略):オープンイノベーションについては様々な考え方があるのですが、まず1つの定義に沿って“1.0”、“2.0”から“3.0”までを説明します。オープンイノベーション1.0は、自社の知的財産を外に出すことでビジネスにしていくという動きです。しかし、特許や知財をビジネスに繋げるのは難しく、うまくいく企業はあまり現れませんでした。オープンイノベーション2.0は、イノベーションが経営戦略において重要だと考えられ始めた時期に出てきました。日本を取り巻く競争が激しくなってきたことで、開発~市場投入のスピードを加速させる必要があり、社外の技術を取り込むようになったのです。オープンイノベーション2.0は、基本的に企業と企業が「1対1」で連携します。それに対して、オープンイノベーション3.0は「1対多」となることが特徴です。キーストーンと呼ばれる中心となる企業に、様々な企業が繋がってイノベーションのエコシステムを形成していきます。この背景には、ビッグデータやAIの活用など、デジタル技術の進歩があります。

──オープンイノベーション3.0のキーストーンは大企業が担うケースが多いと思います。そういった企業にとって、なぜ今「1対多」を形成する必要があるのでしょうか。

小林:多くの企業が業態の転換に迫られていることが、大きな要因だと思います。自社だけでは知見やノウハウが限られており、業態転換や事業の立ち上げに時間がかかることもあり、異なる専門性を持った企業と組んでいく必要があります。ビッグデータやAI、IoTといった新しいテクノロジーに取り組む企業と連携してエコシステムを形成することは、企業が生き残る上で重要な戦略なのです。

──オープンイノベーション3.0を推進する上で、キーストーンとなる大企業にはどのような課題があるのでしょうか。

小林:オープンイノベーションを成功させるうえで重要なのは、その過程で生み出される多様なデータを分析・活用して価値につなげることです。データが散在し、組織内に閉じて共有されずに眠っている状態は、とてももったいないと思います。

 多くの企業では依然として “自前主義”が根付いており、たとえば個性的な強みと、スピード感ある意思決定が特徴のスタートアップのような企業と連携できていないことも課題だと考えています。自前主義に固執すると、DXやオープンイノベーションといった新たな挑戦を許容する風土が醸成されず、それらを推進する人材が不足していくという悪循環になってしまう可能性があります。

 加えて、最近では、コロナ禍でリアルでのコミュニケーションが減ったことも、オープンイノベーションが成功しにくい要因だと感じます。

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