現代組織に生息する4種の動物とその相性
仲山 進也氏(以下、敬称略):藤野さん、お久しぶりです。藤野さんから「トラリーマン1号」に認定いただいてから3年が経ちます。あれから2年ほどかけて「さまざまな分野のトラリーマンと対談」したことで、かなり探究が進みました。
藤野 英人氏(以下、敬称略):その成果がこの本、『「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント』ですね。トラじゃなくてネコがタイトルになったのは意外だったけれど、なるほどなと思いました。
仲山:「トラリーマンって何ですか?」と聞かれたときに、説明してもピンときてもらえないことが多かったんです。それに対して「組織のネコ」だと、「組織のイヌ」という慣用句があるので直感的にわかってもらいやすかったんです。
藤野:たしかにそうかもしれないですね。それと、この本のつくりは、対談をまとめただけじゃないですよね。
仲山:連載の文字数が20万字を超えていて、担当編集者さんから「半分くらい削ろうと思って全部読んでみたのですが、あれは削ると対談のうま味がこぼれ落ちるタイプですね。どうしましょう」と言われて、書き下ろしに挑戦することになったんです。1年ほどかかりましたが、おかげでトラリーマンを深掘りできました。
藤野:どんな発見がありましたか。
仲山:藤野さんとのおしゃべりのなかで生まれた「イヌ・ネコ・トラ・ライオン」の4象限、ありますよね。
読者の方のためにお話しすると、働き方の特徴を4種の動物でタイプ分けしたのが下の図です。横軸からいくと、組織の中央を志向するのがイヌ・ライオンで、組織にいながらも自由に動きたがるのがネコ・トラ。縦軸はパフォーマンスの高さです。
今回、この4タイプの相性を考えてみたんです。トラとライオンは、「お互いに持っている資質が違うから、強みや役割が違って当然だ」と理解しているので、お互いにリスペクトし合う関係。イヌは、上にいるライオンに畏怖の念がある。ガオーって怒られたらビビります。ネコはトラに憧れている。
イヌとネコは、ライオン・トラほど成熟していないので、価値観の違う人を認めることができずに軽蔑し合いがち。イヌはネコに対して「言われたことをちゃんとやろうよ」「群れの統率を乱すなよ」と思っていて、ネコは「言われたことだけやるんじゃなくて価値ある仕事しようよ」「上ばっかり見てタイヘンですね」などと思っている。また、斜めの関係はより対照的なのですが、特にトラがイヌ上司の下につくと、評価されにくい。
藤野:なるほど。分かりやすい。あくまでタイプの違いですよね。どっちが優れているというのではなく、お互いの生態を知ることが大事なのだと思いますね。