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事例で学ぶ「売上データ分析」

データの根拠なき仮説-思い込みを回避する「売上データ分析」

連載:事例で学ぶ「売上データ分析」【第1回】

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「因果関係」がデータ分析のポイント

 売上データを分析し、売上高と利益の拡大につなげるというプロセスにおいて重要なのは、「大量データの分析から、相関関係を発見する」だけではありません。自社のビジネスの本質を理解し売上に影響を与えるデータを見つけることの方が重要です。自社のビジネスモデルを前提として、「売上高との因果関係にあるデータは何か」を考えながらデータ分析することがポイントとなります。

大型旅館の「顧客満足度」と「売上高」に因果関係はあるか?

 ここでは以下のコンサルティング事例から、「因果関係」を考えてみます。

 有名温泉街にある大型旅館の事例です。コンサルティング前の状態から説明します。15年前から売上が下がり、その改善方法として「顧客満足度の向上運動」を全社で行いました。顧客への徹底したアンケート調査と分析により、顧客の不満点を徹底的に改善し、数年かけて顧客満足度は目標のレベルになりました。しかし、売上高は改善されず、客単価の下落とサービス向上のために経費が膨らみ、利益率は下降する一方で、ついに営業利益を出せない状態になってしまいました。

 旅館業やホテルなどの多くの企業では、一般的には「部屋の稼働率」を経営上の重要指標としています。部屋の稼働率を優先する戦略はシンプルです。客単価よりも宿泊数を増やすことを優先させる、またリピーターでも新規顧客でも宿泊客としては同じと見ます。

 具体的には、部屋の稼働率が下がる閑散期には単価を下げて、団体客を多く宿泊させることにより稼働率を確保します。リピーターより稼働率のために団体客を優先する旅館もあります。この旅館ではリピーターが創業時から多いので、宿泊者数を増やすのではなく、サービスの質を高め売上高を上げる方法を模索しました。そして売上高を回復するために顧客満足度改善を全社で進めて売上高の回復を目指してきました。

 2012年の平均は当初目標まで改善されました。宿泊するすべての顧客に提供するサービスを、顧客が満足するサービスレベルにしたと考えたのですが、売上高の低迷に歯止めはかからず、「顧客満足度が上がると、売上高は上がる」(当初、「顧客満足度」を原因、「売上高」は結果としてみていました。」)という仮説は成り立ちませんでした。

 当初考えられた仮説が成立しない理由が、売上データ分析から見えてきました。

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「顧客満足度と売上高」をデータ分析してわかったこと

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この記事の著者

吉田 充(ヨシダ ミツル)

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