ガートナージャパン(Gartner) は、世界のデータ/アナリティクス(D&A)リーダーを対象に実施した最新の調査結果を発表した。
同調査では、「D&Aチームが効果的に組織に価値を提供している」と考えるD&Aリーダーの割合は半数に満たない(44%)ことが明らかになったという。最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)は、職務を成功させ、測定可能なビジネス成果を実現するために、存在感、実績、粘り強さに焦点を当てる必要があるとしている(グローバルでは2023年3月21日に発表)。
同社のシニア ディレクター アナリストであるドナ・メデイロス(Donna Medeiros)氏は、「D&Aは、ステークホルダーの利益を追求する役割を担っています。最も成功しているCDAOは、経営幹部としての存在感を示し、データ・ドリブンにビジネス実績を獲得する、俊敏性が高く戦略的なD&A組織を構築することで、同業他社を凌駕しています」と述べている。
なお、同調査は2022年9月~11月に、世界のD&Aリーダーを対象にオンラインで実施。566人から回答を得たという。
成功しているCDAOには、経営幹部としての存在感がある
調査では、経営幹部としてのリーダーシップの特性17項目について、自己評価で「効果的」または「非常に効果的」と回答したD&Aリーダーの多くが、組織とチームの実績が高いと回答。例えば、実績がトップ・クラスのD&Aリーダーの43%は、プロフェッショナルとしての自身の能力開発に時間を割くことが有効であると回答している。一方、実績が低いリーダーで同様に回答した割合は19%であったという。
同社のディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストであるアラン・ダンカン(Alan Duncan)氏は、「CDAOが成功するには、エリート・リーダーになることが不可欠です。実績がトップ・クラスのCDAOは、成功を実現するために不透明な状況を乗り越えるスキルの向上に投資し、説得力のあるバリュー・ストーリー(ビジネス価値のストーリー)を明示し、ビジネスにインパクトを与えるD&Aプロダクト/サービスを見極めています」と述べている。
CDAOには、新たな要求に応えるための粘り強さが求められる
今回の調査では、CDAOが多くの職責を担っていることが明らかになったという。その範囲は、D&A戦略の定義と実施(60%)、D&A戦略の監督(59%)、D&Aガバナンスの構築と実施(55%)、データ・ドリブンな組織文化変革の管理(54%)など、多岐にわたるとしている。
また、多くのD&A部門では、データ管理(65%)、データ・ガバナンス(63%)、高度なアナリティクス(60%)などへの投資が拡大していることも明らかに。D&A部門の平均的な予算は541万ドルであり、過去1年間で規模が拡大したD&A部門は44%に上るという。
メデイロス氏は、「D&Aに対する要求と投資の拡大は、CDAOの能力に対する信頼が高まり、D&A部門が企業に不可欠な存在として認知されるようになっている状況を反映しています。その一方で、ビジネスの具体的な成果を出すというプレッシャーが高まったため、D&Aが担う役割が増大しています」と述べている。
D&A部門に課される要求が広範で複雑であるという状況を受け、成功を妨げる最大の要因として「人材不足」を挙げた回答者は39%に上っている。調査では、上位6つの障壁がすべて「人」に関連する課題であることが確認されているという(図1参照)。
CDAOは、効果的なD&Aチームを構築するために、即戦力となる人材の採用に頼らない強固な人材管理戦略を策定しなければならないという。例えば、中核となるD&A部門と広範なビジネス/テクノロジ部門の両方で、データ・ドリブンな組織文化とデータ・リテラシーを促進するための教育、トレーニング、コーチングを行うべきだとしている。
D&Aの実績を経営戦略に連携させる
調査では回答者の78%が、D&A戦略へ反映させる上位3項目のインプットの1つに企業/組織の戦略やビジョンを挙げている。加えて、68%は戦略目標に沿ったD&Aイニシアティブを優先させているという。
ダンカン氏は、「最も成功しているCDAOは、戦術よりも戦略を重視しています。組織全体の多様なステークホルダーにサービスを提供するCDAOは、組織の戦略的優先課題と足並みをそろえ、CEO、CIO、CFOを主要インフルエンサーと捉えてD&Aのビジョンが受け入れられることに注力すべきです」と述べている。