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日本型組織で起こる「ビジネス・UX・テクノロジー」の分断──DXを迷走させる「UX」への誤解とは?

EPAM Systems Japan 高橋宏氏 × beBit 藤井保文氏

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 「素晴らしいプロダクトをつくろうと思って事業部門で戦略を練り、IT部門に開発を依頼したら、最初のイメージと違うものが出来上がった」という経験をしたことはあるだろうか? DX時代に「我が社もデジタルプロダクトを世に出して素晴らしい体験を人々に届けよう」と事業創出に乗り出しても、迷走に陥ってしまう企業が後を絶たない。その原因は、日本型の組織構造と意思決定プロセス、そして当たり前のように毎日使われている「UX」という言葉への誤解から来る、「UXファースト」な視点の欠如にあった。本稿では、株式会社ビービットで執行役員CCOを務める藤井保文氏と、EPAM Systems Japan合同会社のビジネスヘッドを務める高橋宏氏が、日本型組織でDXが遅れている理由、そして失敗する組織が陥るUXの捉え方についてディスカッションを行った様子をレポートする。

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EPAMが日本進出で体験したDXの誤算

藤井保文氏(以下、敬称略):本日は、我々ビービットとともに企業の「UXファースト」なDXを支援するパートナーとしてタッグを組むこととなった、EPAM Systems Japan(以下、EPAM)の高橋さんにお越しいただきました。

 高橋さんは、コンサルティングファームや米国のIT企業を経て世界中を渡り歩いてきた後、EPAM(イーパム)の日本支社を立ち上げ、現在は日本企業のDX支援を行っています。EPAM日本支社の立ち上げは2018年でしたよね。

高橋宏氏(以下、敬称略):そうですね。「EPAM」という社名は皆さんあまりご存知ないかもしれませんが、1993年にベラルーシで創業して以来(現在の本社は米国ペンシルベニア州)、米国のビッグテック企業が展開するERPシステムの運用基盤を開発・提供したり、世界中の様々な業種の企業へ、システムやアプリケーションの開発支援を行ったりしてきました。現在は50以上の国・地域で事業を展開しており、従業員は6万名以上、そのうちエンジニア、デザイナー、コンサルタントは合わせて5万3,900名以上を抱えています。

EPAM Systems Japan合同会社 カントリーマネージャー高橋宏氏
EPAM Systems Japan合同会社 ビジネスヘッド
高橋宏氏

藤井:日頃私たちが使っている、誰でも知っているようなアプリケーションやWebサービスにも、実はEPAMが裏で開発を行っているものがたくさんあるとお聞きしました。紛れもなく世界有数のテクノロジー企業です。「使う人にとって意味のある体験をつくる」というUXファーストなDX支援を重視している点が、「DXの目的は新たなUXの提供」であることを謳っている我々の価値観と共感し、今回タッグを組んでいただけることとなりました。

 本日は、世界と日本のDXを見てきた高橋さんに、ぜひたくさんお話をお聞きしたいと思っています。まずは、日本企業のDX推進に感じている印象について。2018年にEPAMが日本で事業を始めた際、高橋さんの目には、日本企業の様子はどのように映っていたのでしょうか。

高橋:ちょうど2018年って、経済産業省がDXレポートを発行したり、日本中の企業でDX推進部門やイノベーション推進部門が立ち上がったりした時期だったかと思います。ですから、当時の私としては「波に乗ったな」と(笑)。世界中のDX成功事例から得た知見や、最先端のエンジニアリングを日本に持ち込めば、きっと上手くいくだろうと踏んでいました。ところが、いざ事業を本格的にスタートしてみると、予想とはまったく違った展開になったのです。

藤井:いったい何が起こったのでしょうか。

高橋:最先端の技術を取り入れても、肝心のビジネスの成功にまったく結びつかないという事態が起こりました。トランスフォーメーション(X)こそがDXの本質ですが、単なるデジタル(D)の開発や実装だけにとどまってしまい、変革が前に進まないという課題に直面したのです。

藤井:原因は何だったのでしょう。

高橋:何よりもまず感じたのは、土台となる日本企業の組織やカルチャーには、欧米で通用したDXのメソッドが通じないということ。そしてビジネスとテクノロジー、UXのそれぞれに対する捉え方が、海外とは決定的に異なるという点でした。

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この記事の著者

中沢 弘子(ナカザワ ヒロコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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