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組織戦略としてのデータとCX

両利きの経営が実践フェーズに進まない「失敗の本質」──スキルのカスタマーサクセス、顧客起点の浸透とは

【後編】三井住友海上火災保険株式会社 CMO CXデザイン部長 木田浩理氏

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 三井住友海上火災保険にて、データ分析組織の立ち上げからマーケティング組織の組成までを担っている、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の木田浩理氏へのインタビュー。前編では、データ分析組織の価値を社内に浸透させるための取り組み、マーケティング組織の立ち上げまでの経緯について語っていただいた。後編では、社内でマーケティングマインドのある人材を育成するためのポイント、研修止まりではない社内全体の意識改革について話を伺った。

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両利きの経営の実践ステージへと差し掛かった

──以下の図版は『両利きの経営』のオライリー教授が会長を務めるコンサルティングファーム「changelogic社」の東京駐在を兼務する加藤雅則氏が示した「両利きの経営の実践地図」です。このプロセスから、木田さんの取り組みの「現在地」をお聞きしたいです。

両利きの経営の実践地図
両利きの経営の実践地図/図版出典:Biz/Zine『日本企業の「両利きの経営」の現在地──加藤雅則氏に聞く、構造的分離から部分的統合という組織能力の獲得』(加藤氏に掲載許諾を取り、再掲)

 今、あらためて「両利きの経営」の観点でこの5年間を振り返ってみると、前半は組織のあるべき姿を探索する中で、新規組織能力を一部の人材が外部から持ち込み、獲得し、それを特定のプロジェクトで発揮して成果を出すという期間でした。そして後半は、集まった人材を中心に、既存組織に「データ分析」や「データマーケティング」のスキル、マインドを醸成、浸透させつつ、コア事業を進化させていく期間であると考えています。これは、現在も取り組みを進めているところです。

 この実践地図に置き換えると、部署によって進み具合は異なりますが、凄く進んでいる組織ではSTEP6に取り組みはじめ、これから本格化させる組織ではSTEP4か5の状態にあると思っています。

 具体的な活動としては、「マーケティング人材育成プログラム」を2022年度から開始しました。初年度には200人のマーケティング人材を育成し、2023年度は400人ほどさらに育成する予定です。2025年までに1,000人、2030年までに5,000人と目標を掲げていますが、社員の関心も高く非常に順調に進んでいると思います。

──組織名にもありますが、CX(顧客体験)の重要性を浸透させるフェーズだということですかね。

 どのようにデータを使おうが、いかほどに営業力があろうが、お客さま起点のきちんとしたマーケティング戦略に基づいたものでなければ、成果につながりません。現在はお客さま起点で戦略を考えることを組織に浸透させていく時期だと考えています。私自身は、全社にお客さま起点の考え方を浸透させていくための発信源になろうと思っています。

 これまではマーケティングを意識せずとも、既存のお客さまや代理店を念頭に、営業戦略や販売戦略を考えていれば問題は起こりませんでした。ところが今後は、人口が激減し、業界全体がシュリンクし、新規顧客獲得の競争が激化していきます。今までの手法は通用しません。そこに対応できる人材が必要とされているのが、今の保険業界です。こうした危機感は当初から持っていました。

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

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