ソニーとアステラス製薬は、ソニーが独自開発した高分子材料「KIRAVIA Backbone」による、がん領域における新規抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate: ADC)プラットフォームの創製に向けた共同研究契約を締結した。ADCは、標的細胞に選択的に抗がん剤等の薬物を届けることによる高い効果と副作用の低減が期待されるもの。より優れたADCを創製するために、抗体と抗がん剤をつなぐリンカーの技術が重要と考えられているという。高い設計自由度により、搭載する薬剤分子を正確に増やしながら水溶性向上等の機能性を付加できるKIRAVIA Backboneをリンカーに用いることで、高い薬物抗体比(Drug to Antibody Ratio: DAR)等を実現し、抗がん剤を、狙ったがん細胞に効果的かつ安定的に届け、治療効果を大きく向上させることを目指すという。
今回の契約では、ソニーが独自に開発したKIRAVIA Backboneをリンカーとして用い、ソニーとアステラス製薬が共同で新規ADCプラットフォームの創製と最適化研究を行う。また、アステラス製薬にて開発候補品の非臨床試験を実施。さらに両社は、ADC技術にとどまらず、ソニーの持つ最先端テクノロジーとアステラス製薬の持つファーマケイパビリティを掛け合わせた創薬プラットフォーム構築・価値創造の可能性について、協議を継続していくとしている。