2026年7月15日、ボストン コンサルティング グループ(BCG)はザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)と共同で、消費財企業および小売企業におけるAI活用についての調査結果をまとめたレポート「How CPG and Retail Leaders Maximize AI ROI」を発表した。本調査は世界の消費財企業・小売企業幹部39名へのアンケートおよび個別インタビュー、並びにBCGのプロジェクト経験をもとに分析されている。

調査によれば、消費財企業のAI活用成熟度は「探索」段階にとどまる企業が76%と大半を占め、「本格展開」しているのは18%に過ぎなかった。一方、小売企業では「本格展開」段階にある企業が45%を占めるものの、「試行」段階が40%となっており、成熟度の二極化が進んでいる。

AI活用によって最も事業価値を創出できる領域は「需要創出プロセス」とされる。これは、消費財企業では商品企画・開発、販売、ブランド構築、顧客エンゲージメントなど、小売企業は品揃え最適化、在庫確保、販売・マーケティング、顧客エンゲージメントなど、売上成長につながる中核業務を指す。BCGの試算では、需要創出プロセス全体でAIを本格展開することで、消費財企業ではEBITマージン換算で2.2~3.5%ポイント、小売企業では1.8~3.6%ポイントの価値創出余地があるとされる。

しかし、事業成長に最も密接に関わる領域でのAI本格展開は進んでいない。消費財企業の回答者の約半数が「商品企画・開発、市場投入」プロセスを重要視する一方で、この領域でAIを本格展開している企業は11%にとどまる。同様に、小売企業でも「商品提案、価格・品揃え最適化」を最重要領域と位置付ける46%の中、本格展開企業は34%に限られた。
また、エージェント型AIの進化により、今後は意思決定支援だけでなくワークフローの実行支援も担うことで、創出できる事業価値が現状の約1.7倍に拡大する可能性も指摘されている。
加えて、AI投資のROIを正式に測定していない企業が半数を超えていることが課題となっている。AI本格展開を妨げている最大要因は、パイロット段階の経済性が拡大展開時のROIとして再現できていない点だった。レポートでは、経営トップが検討すべき6つの問いも提示。戦略課題との整合、目標設定と効果測定、組織変革の要件、人材や運営体制への影響、データ・パートナーシップの活用、リスクやコストを管理しつつ迅速に進める方策などが挙げられている。
今後2年間でAIをビジネス変革に結び付ける企業と停滞する企業との差が拡大していくと見込まれ、経営企画部門には高い目標を掲げた推進力が求められる。
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