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データドリブンから“withデータ”へ

クリエイティブの力を最大化するデータ活用とは──右脳視点と左脳視点を融合させた新たなマーケティング

第1回

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マーケティング戦略でとられる2つのアプローチ

 マーケティング戦略は、大きく2つの異なるアプローチに分けることができます。右脳的な特性を活かすトップダウンアプローチと、左脳的な特性を前面に出したボトムアップアプローチです。

 トップダウンアプローチは、企業が消費者に伝えたいビジョンやメッセージを重視し、これを基に施策を展開します。このアプローチの代表例として、Appleの「Think Different」キャンペーンが挙げられます。このキャンペーンは、強力なマーケティングコンセプトである「Think Different」(= 「はみ出し者」を支える製品であること)を定め、そのコンセプトに基づいて具体的な施策を設計し、CMや印刷物などを展開しました。

 一方、ボトムアップアプローチは、市場や顧客のニーズ・課題を理解し、それを提供・解決することに注力します。トップダウンアプローチと異なり、マーケティングコンセプトは市場や顧客の理解の後に策定されます。日本で初めて使い捨てコンタクトレンズを発売したジョンソン&ジョンソンは、市場動向や消費者の声を製品開発・マーケティング施策に反映することで顧客の信頼を獲得しています。

マーケティング戦略の2つのアプローチ
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 データ活用という側面では、ボトムアップアプローチにおける市場や消費者の調査でデータを活用することはもはや当たり前となっており、「データドリブンなマーケティング」として認知されています。

 一方で、トップダウンアプローチはデータの活用と相性が悪いと思われがちです。これは、右脳的な発想を重視するクリエイティブプロセスの中でデータの活用を効果的に行うことの難しさに起因しています。

 データの収集・活用が当たり前となった現代では、クリエイティブを中心としたマーケティング戦略に対してもデータの活用が求められていると感じます。データを活用することで、マーケティングの成功確率が高められると期待されるからです。

 しかし、2つのアプローチが中途半端に統合されると、互いの利点が損なわれるという結果に陥ってしまいがちです。

 よくある失敗例として、企業がはっきりとしたビジョンやメッセージ、クリエイティブイメージを持ちつつも、市場や顧客のデータに基づいて戦略や施策の設計を行なった結果、その伝えたい内容がぼやけて消費者に届くというケースがあります。

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この記事の著者

岩井 大志(イワイ ダイシ)

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