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損保ジャパンの取り組みから考えるDX成功の鍵とは──現場の声の反映と内製化、顧客ごとのカスタマイズ

損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 主任 井関由香氏、主任 山越あかり氏

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現場DXで鍵となる業務知識と内製化とカスタマイズ

 最初に着手したのは、お客さまによって異なる等級変化や将来の保険料変動を説明する内容を「パーソナライズド動画」にて分かりやすく伝える取り組みだ。

 お客さま自身の理解と判断が求められる重要な部分で、事故対応の要となる箇所だった一方、仕組みが複雑で担当者にとっても説明が困難だった。そして、お客さまの事故内容によって等級の下がり幅が異なり、保険料へも影響する。そのため、すべてのお客さまに同じ説明をするのでは不十分、かつ齟齬が生じ、既存のソリューションではこの業務の効率化が難しく、解決したいポイントだったという。

 そこで着目したのが「SundaySky」という動画作成・配信のプラットフォームだ。同プラットフォームでは、絵コンテや文字コンテ、スライドショーなどの形でストーリーがまとまっていれば、準備されている素材や機能を活用することで、一定以上の品質を担保した動画を簡単に制作することができる。今回のケースのように、条件付きで内容が変化する動画も簡単に作成でき、そのまま動画配信することが可能だ。

 当初は動画制作のある部分をSundaySky社に委託していたが、その後、社内メンバーがプラットフォームを活用し、直感的にコンテンツを作成できる環境を整備したことで、思ったよりも簡単に内製化が進んだと山越氏は語る。動画制作の障壁となりがちな著作権処理も、Getty Images社との連携によって容易になっている。同氏は、英語表記が多いプラットフォームで最初は躊躇したが、直感的なUIのお陰で、いまでは、なんなく使いこなすことができるようになったという。

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図版出典:損害保険ジャパン株式会社「事故対応におけるパーソナライズド動画の提供開始」(2023年7月18日、プレスリリース)

 2022年末にプロジェクトが始動した段階では、SundaySky社と共に事故対応時のお客さま向け動画のコンセプトや説明原稿をブラッシュアップしていく予定だった。しかし、現場で事故対応業務を深く理解するメンバーが、自ら動画の内容を整理し、動画制作を内製化するための要素を初期から丁寧に整えていった。

 「当初から完璧なスクリプトが上がってきて驚いた」とSundaySky社の担当者から太鼓判をもらったと山越氏は明かす。現在は、知見が蓄積されたことで、動画がより簡単に内製できるようになったという。

 山越氏は当時を振り返り、現場との緊密な連携が不可欠だったと語る。実際、動画制作の際には、現在の現場担当の社員とも念入りに確認を行い、フィードバックを受けている。さらに、最初の保険料変動に関する動画は、3ヶ月間にわたり一部の課で試験運用された。その結果、担当者やお客さまからもポジティブな評価が得られ、2023年7月の本格リリースへとつながったのだという。

山越あかり

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「顧客体験の向上」と「業務効率化」の両立

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

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