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損保ジャパンの取り組みから考えるDX成功の鍵とは──現場の声の反映と内製化、顧客ごとのカスタマイズ

損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 主任 井関由香氏、主任 山越あかり氏

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現場経験を持った人材が本社でサポート環境を構築する意味

 損保ジャパンでは、保険金サービス部門において、お客さまが事故にあわれたときの受付から損害調査、相手方との交渉や保険金支払いまでを行っている。従来、こうした業務ではお客さまとのコミュニケーションの中心は電話応対だった。メールやLINEなど一部デジタルツールも活用されていたものの、事故直後の非日常的な状況下にいるお客さまに対して、音声や文字情報のみで契約内容や事故対応の流れを正しく理解いただくのは難しいという課題があった。

 事故対応時の説明用動画プロジェクトを担当した中心人物の一人である山越あかり氏(以下、山越氏)は、複雑な内容を丁寧に噛み砕いて繰り返し説明することが、担当者にとって業務上のストレスとなっていたのではないかと、自身の経験からも振り返る。自動車事故の対応では、お客さまがきちんと保険の仕組みを理解したうえで自ら決断を下さなければ、手続きが進まない。例えば、保険を使用すると等級が下がり、次回の契約更新時の保険料が上がるなどの影響があるからだ。こうした仕組みを電話口で担当者が案内することも、お客さまが理解し判断することも容易ではない。

山越あかり
損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 主任 山越あかり氏

 さらに、担当者がそれぞれにスキルを磨き、説明の工夫をすることで分かりやすさを追求していたものの、どうしても担当者によるスタイルや質のばらつきもあったため、すべてのお客さまに一定レベル以上の均一なサービスが提供できていないのではないかという懸念が、現場では挙がっていたと山越氏は振り返る。

 郵送用の説明資料をお客さまへLINEで送信し説明の補助とするなどデジタルツールを活用した工夫も行われていたが、それでも課題は残っていたと、プロジェクトの中心人物の一人であり、自身も現場経験のある井関由香氏(以下、井関氏)は話す。さらに、現場ですでに導入されていたデジタルツールもまた、活用が任意のため、十分に使われていない状況も浮き彫りになっていた。

井関由香
損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 主任 井関由香氏

 プロジェクト立ち上げ当初から携わる山越氏は、映像コンテンツが浸透している現代において、お客さま向けの説明にも馴染みやすいツールであり、視覚的にわかりやすい「説明動画」を導入することを考えたと話す。「いつでも、どこでも、何度でも見返せる動画」を提供する環境の構築を目指し、同社初のプロジェクトが立ち上がったのだ。

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現場DXで鍵となる業務知識と内製化とカスタマイズ

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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