顧客側から自分たちの仕事を見て、断片化を回避する
増田泰彦氏(以下、敬称略):データを取得し、そこから「お客さまに何ができるか?」を考えることはとても地道でありますが、本質的な活動だと思います。例えば世の中には、ウェブサイトのボタンの色を変えることによってコンバージョンが何%上がって売上が増加したかということをずっと繰り返していくような取り組みもあります。これはビジネス成果を上げていく1つの方法ではありますが、これだけではお客さまのことを理解するということにはつながりません。
宇田川:『企業変革のジレンマ──「構造的無能化」はなぜ起きるのか』(日経BP 日本経済新聞出版)では、企業変革が滞る一番の要因として「断片化」を挙げています。全体的な観点から自分の業務を見れば「もっとこういうことをやった方がいいな」といったことが分かるのですが、業務分掌が細かく分かれて断片化していくと、その小さな窓からしか外の世界やお客さまが見えなくなるわけです。