二度の計画未達から始まった丸井GのFP&A組織導入
イベントでは、各業界の最前線で活躍する実務家と優れた知見を有する専門家が議論を交わすセッションも設けられた。その1つが、FP&A(Financial Planning & Analysis)がテーマの「日本企業のFP&A最前線 “立上げ期の丸井グループ”と“進化し続けるリクルート”に学ぶ」だ。登壇者は、丸井グループ 取締役専務執行役員 CFOの加藤浩嗣氏、リクルート 事業統括室 Vice Presidentの三木久生氏、千葉商科大学大学院 会計ファイナンス研究科 教授の石橋善一郎氏、モデレーターはログラス プロダクトグロース本部長の浅見祐樹氏が務めた。
まずセッションは、事業会社2名による自社のFP&A組織の成り立ちや現在の体制紹介などからスタートした。口火を切ったのは、丸井グループの加藤氏だ。丸井グループは2024年2月にFP&A組織を設置しており、現在は立上げ期にあたる。その設置の背景には「二度の計画未達」があったと加藤氏は説明する。

「当グループは2022年度、2023年度と2年連続の計画未達に直面し、投資家の皆様や社外取締役から非常に厳しい指摘を受けました。そのなかで特に問題視されたのが、計画達成に対する責任の所在のあいまいさです。従来、当グループでは財務計画を経営企画部が策定し、実績管理は財務部が実施するという、計画と管理の主体が乖離している状態にありました。それらを一気通貫に実施する体制が求められ、FP&A組織の設置につながりました」(加藤氏)
こうしたなか丸井グループでは、グループ本体と事業会社を横断する二重体制のFP&A組織を設置した。

グループ本体にグループFP&A部を設置し、各事業会社にはFP&A室と事業部兼任のFP&A担当者を置いた。さらに、事業会社のFP&A室は社長とグループCFOのダブルレポートラインとすることでチェック体制を強化。こうして中期経営計画の策定から与実管理までをグループCFOが一気通貫に管理できる体制を構築した。
先行企業リクルートのFP&A組織の進化
続いては、リクルートの三木氏。リクルートは2021年4月の国内7社統合に伴い、現在のFP&A体制を構築した。

以前はカンパニーごとにFP&A組織である「統括」が財務計画の策定や実績管理などを担っていたが、統合をきっかけに経営企画部門に機能を集約。これにより、カンパニーごとに計画推進や実績管理を実施する体制から、全社レベルでの追加投資やコスト削減が行いやすい体制に移行した。
「具体的な組織体制としては、経営企画にFP&A組織を集約する一方で、各事業部にも兼務の担当者を配置。さらに、ファイナンスにもFP&A組織を設置しています。実績管理は経営企画が担当しますが、ファイナンスや事業部との横の連携も図りやすい体制です」(三木氏)
