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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

なぜ清水建設は社員の「独立・起業」を後押しするのか。CV制度運営者に聞く、挑戦支援の仕組みと狙い

ゲスト:清水建設 榊原勲三氏

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 1804年創業の清水建設は「NOVARE(ノヴァーレ)」というイノベーション部門を核に、建設という枠を超えた新規事業創出と社会課題解決に取り組んでいる。その一環として運営されているのが、社員の起業を促進・支援する「コーポレートベンチャリング(CV)制度」だ。この制度の最大の特徴は、最終的に「独立・起業」を前提とし、外部のベンチャーキャピタルからの資金調達を必須条件に組み込んでいる点にある。なぜ伝統ある大企業が、あえて人材の「流出」とも見える独立を後押しするのか。本制度の運営事務局を担当する榊原勲三氏に、制度の変遷、ユニークな仕組み、そしてその背景にある戦略的な狙いについて、イノベーション鈴木氏が伺った。

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人材流出での「凍結」から再始動。現場出身者が語るCV制度の変遷

イノベーション鈴木氏(以下、イノベーション):本日はよろしくお願いします。はじめに、清水建設のイノベーション活動と、榊原さんご自身の役割について教えてください。

清水建設榊原勲三氏(以下、榊原):清水建設は、建築・土木を中核とする総合建設会社です。近年は、持続可能な社会の実現に向けたイノベーション活動を「NOVARE」という部門で推進しており、「サステナビリティ」や「DX」など5つの重点領域を掲げています。私が担当しているCV制度も、このイノベーション活動のひとつです。CV制度の目的は、起業を促進して社員のチャレンジ精神を高めること、そして清水建設グループだけでは難しい社会課題の解決や事業領域の拡大を「共創」によって目指すことにあります。

 私自身はプロパー入社12年目で、元々は現場監督でした。社員の約7割が現場におり、私のように現場の「不」を理解している人間が事務局にいることが重要だと評価され、この制度の運営を担当しています。

清水建設株式会社 NOVARE イノベーションセンター ビジネスデザイングループ 榊原勲三氏
清水建設株式会社 NOVARE イノベーションセンター ビジネスデザイングループ 榊原勲三氏

イノベーション:CV制度は現在3期目とのことですが、ここに至るまでには紆余曲折があったそうですね。まずは制度の変遷についてお聞かせいただけますか。

榊原:実は原型となる制度は2000年に「事業家公募制度」として存在しました。この時の採択案件から、後にIPOを果たしたプロパティデータバンクも生まれています。ただ、当時は独立後のセーフティネットがなく、制度利用者は「転籍(退職)」しか選択肢がありませんでした。

イノベーション:では、プロパティデータバンクすらも、当時は完全に「流出」という扱いだったのですね。

榊原:おっしゃる通りです。これが「単純な人材流出ではないか」と問題視され、制度は翌年に事実上凍結されてしまったのです。その後、プロパティデータバンクが2018年に上場したことをきっかけに、中長期的な視点で価値あるものだと見直されるようになりました。そこで2022年に「CV制度」としてリニューアルして再始動することになります。1期、2期を経て、今回の3期目では、特に「会社としてのリターン」や「独立後の支援」のあり方をさらに見直した形になっています。

仮説検証から独立まで、CV制度が定めた4つのステップ

イノベーション:CV制度は、どのようなプロセスで進むのでしょうか?

榊原:CV制度でも、各社が新規事業提案制度で多く採り入れている「ステージゲート制」を採用しています。

 第3期の例で説明すると、「Stage 1(アイデア創出フェーズ)」 として、2025年9月から11月末までが公募期間です。応募者には「Gate 1」として書類選考と1次プレゼン審査を受けていただきます。

 通過者は「Stage 2(仮説構築フェーズ)」 に進み、6ヵ月間、顧客課題やソリューションの具体化に取り組みます。その後「Gate 2(2次プレゼン審査)」 を経て、採択案件を絞り込みます。

 そして「Stage 3(実行計画フェーズ)」 では、1年間かけてPoCの実施や資金調達、会社設立準備を行います。

 最後に「Gate 3(最終審査)」 を通過すれば、晴れて「Stage 4(市場検証フェーズ)」 として独立・起業するという流れです。

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PoC実施も2件まで。独立まで伴走するステージゲート制の内容

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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