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企業価値向上のためのFP&A

SOMPOグループの“海外仕込み”のFP&A──経営危機を発端に「経営の司令塔」として変革を支援する

ゲスト:SOMPOホールディングス株式会社 広瀬杏太郎氏、損害保険ジャパン株式会社 藤谷直弘氏

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数十億円のコスト削減を実現した「科学的な検証」

池側:FP&A組織が具体的に上げた成果について教えてください。

藤谷:代表的な例は「再保険」の見直しです。ボラティリティ(変動)抑制のために毎年相応のコストを「再保険」に投じていますが、そのコストと効果が科学的に検証しきれていない部分がありました。

 そこで、FP&Aが全体最適の観点から「このコストは不合理ではないか」と切り込み、再保険部門、リスク部門と検討の上で経営に契約スキームの変更を提案しました。結果、一部の再保険をやめることで、数十億円規模のコスト削減を実現しました。

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池側:まさに「専門性」を持って事業に介入した事例ですね。人材の採用や育成はどうされていますか。

広瀬:HDではキャリア採用を強化しており、最近も3〜4名が入社しました。部門主導で「SOMPOはFP&Aを本気でやっている」と発信することで、優秀な人材が集まる好循環を作っています。

 また、SOMPOグループ全体ではFP&Aは経営のエッセンスを凝縮して経験できる「経営中枢への登竜門」として位置づけています。

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Excel文化からの脱却、Anaplanによる「内製化」と「可視化」

池側:データの統合や分析基盤として、クラウド型計画プラットフォーム「Anaplan(アナプラン)」を導入されていますね。

広瀬:以前はすべてExcelベースで、数式ミスの修正や転記の手間に膨大な時間を費やしていました。SIH(海外事業)が既に使っていたAnaplanをグループ共通基盤としたことで、海外事業のデータに直接アクセスできるようになり、分析の解像度が劇的に上がりました。以前は何日もかけて質問していたことが、今はシステムを見れば数秒で分かります。

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池側:システムを導入しても、使いこなせずに形骸化する企業も多いですが、運用の工夫はありますか。

藤谷:私たちは「内製化」を徹底しています。ベンダー任せにせず、自分たちでモデルを改修できるスキルを持つ人材を確保しました。これにより、現場や経営からの要望を数時間で反映できるスピード感が生まれています。今後はP/L(損益計算書)の作成ロジックだけでなく、高度な収支予測モデルを組み込むことで、可視化と精度の向上を両立させていきます。

AIは「予測」を担い、人は「熱意」を語る

池側:今後の展望として、生成AIの活用などは検討されていますか。

広瀬:AI活用はグループトップの奥村(SOMPOホールディングスグループCEO 奥村幹夫氏)も最重要課題に掲げており、数字データを扱うファイナンス部門には高い期待がかけられています。まずはAnaplanに蓄積されたデータをベースに、客観的な着地予想を出せるようにしたいと考えています。

 ただし、分析結果を経営のメッセージとして届ける際、最後に熱意を込めて語るのは「人」の役割です。そこはAIには代替できない、FP&Aの最も価値ある部分だと考えています。

藤谷:実務レベルでは、事業計画策定時のエラーチェックや異常値検出、ストーリーとの整合性確認などにAIを組み込み、今年度中の実用化を目指しています。

池側:最後に、FP&A組織の構築に悩む企業や、この職種を目指す方へメッセージをお願いします。

藤谷:FP&Aは利益改善の最大の推進役です。我々自身もケイパビリティ(能力)を高め、先進企業の皆様と交流しながら、日本全体のFP&Aの底上げに貢献したいと思っています。

広瀬:FP&Aという職種が日本でもっと一般的になり、日本経済全体を引っ張っていく組織になれば嬉しいです。

池側:海外の先進事例を自社の文化に溶け込ませ、独自の強みに変えていくSOMPOの力強さを感じました。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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