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「AIで経営の意思決定は30倍速くなる」──すがけん流、薄利多売から抜け出すAI経営戦略

【動画】経営アドバイザー・Moonshot代表 菅原健一(すがけん)氏インタビュー

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コスト削減思考の罠。AIを使うほど、薄利多売が加速する

安成:いま日本では、コスト削減の文脈でのAI活用が主流になっているように感じています。菅原さんは「コスト削減思考は薄利多売を加速させてしまう」とおっしゃっていましたが、そこを深くうかがいたいです。

菅原:まず、薄利多売は「いっぱい作りたい」という発想です。より多くの人に届けたいから。たくさん作れば1個あたりの単価が下がるから。でも、いっぱい作るといっぱい売らなきゃいけない。テレビCMを打つ、人件費がかかる、倉庫も大きくなる。コストは比例どころか、利益率をどんどん圧迫していくんですよ。

 僕が著書『厚利少売』で提唱しているのは、薄い利益を多く売るの逆で、厚い利益を少なく売るという考え方です。安く・たくさん・速く売ろうではなく、高利益なものをどう作るかを考えなきゃいけない。コスト削減は一瞬利益が上がるからいいやとなるけれど、いっぱい作っていっぱい売る思想を変えない限り、コストが少し良くなるだけなんです。

安成:ちょっとの改善しか得られない、と。

菅原:そうです。しかも今後、AIツールはどんどん値上がりします。今はお試し期間で安いのに、日本企業と話すと「高い」とおっしゃる。月3万円を従業員全員に配って、給料30万円の人なら1割増だと。でも、人件費はもっと減らせるし、付加価値を増やして高く売る方法が見つかると考えれば、AIは決して高くない。

 「AI代が10倍になっても喜んで払えます」という会社に変わる瞬間なのか、薄利多売を加速させる話なのか、今まさに道が分かれた瞬間だと思うんです。今までMicrosoft Excelのマクロで頑張っていたファイナンスのモデルも、Claudeのフォルダに置いて計算させれば、シミュレーションが5パターン、10パターン瞬時に出せる。利益率を15%、20%へ持っていくにはどうするか、半日でレポートや戦略が作れるようになっています。

AIは賢い部下。でも上司にはならない──人間に残された仕事

安成:菅原さんはAIにとことん任せるスタイルだと思いますが、「ここだけは自分でやる」という領域はありますか。判断軸や哲学は残るのかなと。

菅原:人間に残されたのは哲学と意思決定、つまり方向づけと責任です。最近、ある会社がSEOチームを「AIでできるからいらない」と全員解雇したら、メディアの順位が下がってトラフィックも落ちた、という投稿がありました。「AIは役に立たない」と読む人もいたけれど、僕はそうじゃないと思う。AIを使う主体、つまり責任者がいなくなったということなんです。目標達成まで残り何週かを胃を痛めながら見て、考え抜く責任の主体まで解雇して、放置してしまった。プロジェクトはAIで動いていても、数字が悪くなったときに引き受ける人がいなくなったのはまずい。

安成:すごくわかりやすい事例ですね。

菅原:研修でもお伝えするのは、AIはあなたより賢いかもしれないけど、上司にはならないということ。自分より賢い部下だからお願いすればやってくれる。でも、そのレポートを上司に送って間違えていたら責任を取るのはあなただし、「これをやりましょう」と決めるのもあなた。社長は目標未達なら辞任すると言うけれど、Claudeは辞任できない。だから責任の主体にはなれない。調査・分析、資料案、価格案、ドラフトは全部AIが作れます。でも経営会議で「どうする」と決めるのは人間で、「AIが言ったからAでいいや」とは決めないはずなんですよ。そこだけは間違えないほうがいい。

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余力は値下げに使うな。AIが生んだ時間を「価値向上」へ投資せよ

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

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