GAFAMは「愛情と共感」をどう実装したか
ユダヤの教えにある「愛情」や「相互信頼」は、実はGAFAMの最前線でも形を変えて実践されている。
Google(プロジェクト・アリストテレス、Project Oxygen)や、Microsoft(サティア・ナデラCEOによる改革)のリーダーシップ研修をベースに、私の実体験からその要点をまとめると以下になる。
組織の土台・安全網
- 心理的安全性(Psychological Safety)
- 安全配慮義務(Duty of Care)
人間関係・カルチャー
- 多様性と包摂性(Diversity & Inclusion)
- 共感力(Empathy)
- 思いやりとケア(Compassion and Care)
個人のマインド・姿勢
- 成長マインドセット(Growth Mindset)
実践的な統率力・行動
- 明確さの創出(Create Clarity)
- エンパワメントとコーチング(Empowerment & Coaching)
- 成果の達成と説明責任(Deliver Success & Accountability)
ここでは、Microsoftのサティア・ナデラCEOが「悟り(enlightenment)」や「共感(empathy)」、「思いやり(compassion)」をビジネスにおいて重視していることがわかる箇所を、著書『Hit Refresh: The Quest to Rediscover Microsoft's Soul and Imagine a Better Future for Everyone』から引用したい。
And only then would you be ready to develop that deeper sense of empathy and compassion for everything around you. The computer scientist in me loved this compact instruction set for life. Don’t get me wrong. I am anything but perfect and for sure not on the verge of achieving enlightenment or nirvana. It’s just that life’s experience has helped me build a growing sense of empathy for an ever-widening circle of people. I have empathy for people with disabilities. <中略> My passion is to put empathy at the center of everything I pursue—from the products we launch, to the new markets we enter, to the employees, customers, and partners we work with.
出典:Satya Nadella, Greg Shaw, Jill Tracie Nichols『Hit Refresh: The Quest to Rediscover Microsoft's Soul and Imagine a Better Future for Everyone』
著者意訳:そうして初めて、自分の周りにあるすべてのものに対して、より深い共感や思いやりの心を育む準備が整うのです。私の中にいるコンピューターサイエンティスト(の気質)は、この人生における「コンパクトな命令セット(指示書)」がたまらなく気に入りました。誤解しないでください。私は決して完璧な人間ではありませんし、悟りや涅槃(ねはん)の境地に達しそうというわけでも絶対にありません。ただ、これまでの人生経験のおかげで、より多くの、そしてより多様な人々に対して、共感の輪を広げていくことができるようになっただけなのです。私には、障害を持つ人々への共感があります。<中略> 私が情熱を注いでいるのは、自分が追い求めるすべての中心に「共感」を据えることです。私たちが世に送り出す製品から、参入する新たな市場、そしてともに働く従業員、顧客、パートナー企業にいたるまで、そのすべてにおいて。
たとえば、お金とは「愛情」である。そう言われて、違和感のある「あなた」。あなたは、「幸せなお金持ち」じゃないはずだ。私の出会った「幸せなお金持ち」は全員、お金を好意的に見ているし、「愛情」と即答した人もいる。そして、お金に「愛情」をかけて育てている。恋愛であれ、夫婦間であれ、親子間であれ、「愛情」とは手間暇かけて育てていくものだ。
GoogleやMicrosoftで働くと、特に黎明期においては、ストックオプション制度によって何十億円というお金を手にする人がいる。文字どおり、一晩で、つまり、上場したその日に何十億円という金融資産が手に入る。だが、それは、株式市場の変動で乱高下する数字だ。そして、それに一喜一憂している人は、おそらく、そのお金を有効活用して育てていくことはできない。大事なのは、社会のために育てて有効活用することだ。つまり、私利私欲から「公利公欲」への転換が必須だ。
