愛情と感謝が導く、AI時代の成功法則
では、冒頭で提示したマトリックスに戻ろう。右上の「高い悟り×高いマネーエネルギー」の象限に到達し、これらを実践していくためには何が必要なのだろうか。
「縦軸:Enlightenment(悟り・啓蒙)」と「横軸:Energy of Money(お金のエネルギー)」だが、これらを成長させるために、つまり、右上の象限に行くために必要なこと。それは、「愛情」「感謝」「フィールド・インディペンデント」である。
まず「愛情」についてである。心理的安全性(Psychological Safety)、安全配慮義務(Duty of Care)、多様性と包摂性(Diversity and Inclusion)、共感力(empathy)、Compassion and Care(思いやりと配慮)などをGoogleとMicrosoftのリーダーシップ研修で学ぶが、これらのコンセプトのベースにあるのは、要するに「愛情」である。そして、お金も「愛情」のエネルギーだ。子供の教育費、家族の生活費・医療費、親の介護費など、これらに込められているエネルギーは「愛情」であり、「お金」=「愛情」であることを悟る必要がある。
次に「感謝」についてだ。成長マインドセット(Growth Mindset)、逆境をチャンスに変える力、人間力などは、すべての事象に「感謝」する力が問われる。「感謝」するからこそ、すべてに対して前向きに取り組むことができ、それが圧倒的な「Growth Mindset」を生むのだ。お金もまた「感謝」のエネルギーである。子供の教育費、家族の生活費・医療費、親の介護費など、それらのサービスを受けられることに「感謝」するとき、「お金」=「感謝」のエネルギーになる。
そして最後に「フィールド・インディペンデント」である。これは、誰がなんといおうと自分の信じることに「愛情」を注ぎ、「感謝」する姿勢を指す。大衆に迎合する思考回路からは、新機軸は生まれない。大衆に迎合していたら、みんなの意見にあわせていたら、独創的なアイデアもビジネスも生まれない。大衆と同じところに投資していたら株式投資では勝てないように、ビジネスの投資も同じである。「フィールド・インディペンデント」なお金の使い方を知る者がビジネスで成功するのだ。「お金」の使い方には人間性が宿る。そして、お金に「感謝」し、そのお金を愛情をもって育てていく。この「フィールド・インディペンデント」については、これまでの連載でも紹介しているので、馴染んでいない方はぜひ確認して欲しい。
そして、これらは、AIにはできない。「愛情」をAIが知ることはない。何に「愛情」を感じるかは極めて個人的で主観的なことだからだ。「感謝」をAIが知ることもない。生成AIが紡いでくる言葉には「愛情」「感謝」という文字もある。だが、AIは過去のデータからそれらを数学的に割り出している。無機的で無味乾燥な表現だ。
人類が残してきたありとあらゆる「過去データ」をベースにAIが生成してくる言葉や表現は、全人類の「写し鏡」になっている。だから、AIが「フィールド・インディペンデント」になることはあり得ない。全人類の「写し鏡」は、平均的で凡庸な意見からの「外れ値」を取り得ない。「外れ値」を生成してくれ、というプロンプトを与えることはできるが、その「外れ値」からイノベーションを生み出すのは「人間の役割」である。
AI時代には、AIに絶対不可能なことに価値が生まれる。「AI不可能性」の価値が相対的に高くなっていく。そして、それは、これまでの連載で論じたように、IQ(Intelligence Quotient:知能指数)でも、EQ(Emotional Quotient:感情知能指数)でも、AQ(Actions Quotient:行動知能指数)でもなく、SQ(Spiritual Intelligence:精神的知能指数)の領域である。
お金の本質が「愛情」だとわかり始めたとき、この縦軸と横軸の成長が始まると、私はユダヤ人の友人から教わった。この連載では、GoogleとMicrosoft、そして、そこで知り合ったユダヤ人の友人から学んできた「幸せなお金持ち」のマインドセットを私なりに解釈して伝えていきたい。それは、「AI時代の成功法則」になるはずである。なぜなら、縦軸も横軸も、SQの成長にその成否がかかっているからだ。AIは、SQまで辿りつかない。
