小さな試行と失敗から学ぶ。成長企業に共通する組織風土
続いて中村氏は、長寿企業の多様な経営スタイルを20項目の回答から「理念・挑戦型」「行動・成果型」「職人・慎重型」「自律・分散型」「統制・堅実型」「独自価値・安定型」という6つのタイプに分類して解説した。
直近5年間の業績が成長傾向にある割合が特に高かったのは、DNPも分類された「理念・挑戦型」と「行動・成果型」の2タイプであった。これら成長企業には、共通する3つの組織風土があるという。
1つ目は、「新しい取り組みや従来と異なるやり方への挑戦が前向きに評価される」文化だ。2つ目は、「小さな試行や実験を特定の時期や個人に限らず継続的に行う」風土である。一部のトップダウンによる大改革だけでなく、現場での日常的な試行錯誤が変化を生み出している。3つ目は、「失敗や想定外の結果が生じても、その経験を次の改善や判断に活かす」姿勢だ。つまり成長を続ける長寿企業は、「挑戦し、試し、失敗から学ぶ」というサイクルを日常的に回しているのである。
幾多の危機をいかに越えたか? トップの決断と事業変革
100年を超える歴史の中では、幾多の経営危機が存在する。長寿企業はそれらをいかに乗り越えてきたのか。危機克服の重要要因として最も多く挙がったのは「経営者のリーダーシップ」(28.3%)であった。トップが明確な方向性と「このままではいけない」という危機感を示し、組織全体を牽引することが不可欠だ。
さらに注目すべきは、「新事業領域への進出・多角化」(27.6%)や「不採算事業からの縮小・撤退」(25.8%)といった「事業ポートフォリオの変革」が上位にランクインした点である。多くの長寿企業は、市場環境の変化といった外部危機には新規事業への進出という「攻め」の姿勢をとり、内部不祥事には情報開示による「守り」の姿勢を徹底するなど、危機に応じて柔軟に打ち手を使い分けてきた。
中村氏は今回の調査結果を振り返り、「長寿企業のDNAとは、変わり続けることができたことだ」とまとめた。
