2026年8月20日、グロービスは「役員育成に関する実態調査」の結果を発表した。国内企業の役員290名を対象とした本調査によると、約86%が十分な準備機会を持たずに役員職に就任していることが明らかとなった。体系的で十分な準備機会があると感じていた役員は14%にとどまり、企業規模や就任期間にかかわらず、ほとんどの役員が準備不足を感じていた。

役員が難易度の高い経営課題として最多回答したのは「次世代リーダー育成・組織文化変革」(約68%)であった。これに「既存事業の再定義・収益改善」「デジタル・AIを活用したビジネスモデル変革」「新規事業の創出・多角化」などが続き、役員自らも今後さらに知見を深める必要性を強く認識している状況が浮き彫りになった。
知見強化を望む領域は平均3.2分野に及び、「DX・AIの戦略活用」「組織変革・次世代育成」など、多様なテーマが挙げられた。一方で、61%の役員が「スケジュール確保(多忙)」を継続的な学びの主な障壁として挙げており、役員育成における時間設計や学びの継続性の課題が明示された。
また、役員の約64%が自身の管掌以外の全社テーマへの関与に不安や課題があると回答した。取締役と執行役員で管掌外テーマへの関与度合いに大きな差があり、執行役員では「積極的に関与できている」と答えたのは18%にすぎなかった。全社横断的な対話や知見共有の仕組みが十分に機能しているとは言い難い現状がうかがえた。
さらに、社外取締役経験者の87%が「経営陣のスキル不足が意思決定スピードや議論の質に影響する」と回答し、役員層全体の能力底上げと多様な経営視点の重要性が指摘されている。ガバナンスや資本効率経営といった領域でも、知見のアップデートが必要とされている。
グロービスは本調査結果を踏まえて、役員就任前後のオンボーディング、次世代経営人材育成の仕組み整備、管掌を越えた対話の促進、継続学習の仕組み・文化形成――の4つを柱に企業ごとの経営人材支援を提案する方針だ。
本調査は、ガバナンス改革下で複雑化する経営課題に対し、役員育成の新たな仕組みや全社的な知識共有の場の重要性を浮き彫りにしている。人材ポートフォリオ強化が経営企画部門の主要テーマとなる中で、今後も経営層の継続的な能力開発支援の必要性が高まりそうだ。
【関連記事】
・グロービス、幹部向け「Visionary Leadership Program」を開講
・グロービス、新360度サーベイ「GMAP360」を7月より提供開始
・コーン・フェリーとグロービスが日本企業のCEO育成実態を調査



