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2040年の労働力不足を救う「フィジカルAI」。日立 德永社長が語る、インフラの自律進化と日本の勝機

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暗黙知をAIレディなデータへ。現場を全体最適化する「FDE」

 フィジカルAIの価値を最大化するには、長年現場に蓄積されたデータやノウハウの活用が不可欠である。そこで発表された3つ目の新サービスが「Physical AI FDEサービス」だ。これは、顧客の現場に深く入り込み、熟練者の経験や判断といった言語化しにくい暗黙知を、AIが活用できるAIレディなデータへと転換するフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)の専門集団である。

 FDEチームが、現場のデータを統合するデータ基盤「HMAX Data Fabric」や、不適切なAIの挙動を抑止する「HMAX AI Operations」を活用し、経営課題の特定からAIの適用、運用までを一気通貫で支援する。個々の最適化にとどまらず、現場が自律的に学び全体を最適化できる環境を構築するという。

 また、自律進化するデジタルインフラの実現には、強力なパートナーシップが欠かせない。日立はNVIDIAとのコラボレーションを加速させ、フィジカルAIを用いた現場全体の自律化に関する協業を進めている。

「エネルギー分野はもちろん、鉄道、製造、金融、公共システムなど、あらゆる社会インフラの現場にもフィジカルAIを実装するため、日立はNVIDIAとのコラボレーションを加速してまいります」

 NVIDIAのコンピューティング力によって計算時間を大幅に短縮し、電力網の解析等を高速化するとともに、各社の製品やサービスを熟知した日立のFDEが顧客の現場でAI実装を支援する。グローバルなAIエコシステムの構築を進め、安全かつ確実なフィジカルAIの社会実装を現実化していく構えだ。

3つの調和を目指す。日立が描く「ハーモナイズド・ソサエティ」

 德永氏は、フィジカルAIによる社会インフラの革新が、最終的には社会そのものの自律的な進化につながると展望する。日立が目指すのは、環境、幸福、経済成長の3つが調和する「ハーモナイズド・ソサエティ」の実現である。

 その実現の鍵を握るのが、日本が古くから大切にしてきた「調和(ハーモニー)」の精神だ。毎日定時運行を続ける鉄道や時間通りに届く宅配サービス、長期にわたり安定稼働する高品質な製品群は、単なるマニュアルの徹底だけで成り立っているわけではない。利用者を思いやる心やわずかな異常も見逃さない細やかな気配りがあり、複雑に絡み合う多様な要素を1つの美しい全体へと調和させる文化が日本社会には根付いている。そこから日々生まれる高品質・高精度なデータこそが、フィジカルAIの真価を引き出す。

「日本社会が育んできた高信頼、高性能な製品や、そこから日々生まれる高品質、高精度なデータや運用ノウハウは、フィジカルAIの実装と、その先に見据える自律進化するデジタルインフラ、この実現に欠かせない資産です。私は、ここ日本だからこそ、ハーモナイズド・ソサエティを実現できると信じています」

 AI基盤のオープン性確保やソブリン性の確保、新たな社会制度の設計など多くのハードルはあるものの、イギリスの産業革命やインターネット革命に次ぐパラダイムシフトを日本発で起こすことができると德永氏は力説する。真っ白なキャンバスに未来の社会像を描き、オープンな議論と共創を通じて社会を変革していくという強い決意とともに講演は締めくくられた。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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