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都市と地域のイノベーション「Creative Circuit」

UberやGoogleなどIT企業が都市をつくり変える──21世紀型の都市のかたちとは

Creative Circuit #1:ゲスト 多摩大学大学院教授 紺野登氏(第2回)

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新しい「モビリティ」の登場が、都市生活を変える

本村:
 前回、20世紀型の都市が抱える課題と、その課題を解決するためのパブリックスペースの活用方法についてお話を伺いました。20世紀型の都市が抱える様々な課題に対して、企業や行政はどのようなアプローチで解決に取り組んでいるのでしょうか。

紺野:
 IT企業がデザインやテクノロジーの力を借りて、機能不全になってしまった都市を変えようとしていますね。都市の課題としては渋滞や環境汚染などが挙げられますが、特に注目しているのは、新しいモビリティの登場ですね。Lyft やUberのようなタクシーに代わる配車サービスや、自転車のシェアリングサービスMobikeなどの人気が都市で盛り上がり、これらのモビリティが人々の都市生活をより快適なものに変えていくでしょう。近距離の移動でもUberを使う人や、渋滞を避けるために車ではなくシェアサイクルに乗って、目的地の近くで乗り捨てるといったように多様化がおきますね。自動運転技術が浸透すれば、都市での暮らしに大きな影響を与えそうです。

本村:
 新しいモビリティが都市生活者のライフスタイルを変える中で、既存のインフラである鉄道やバスなども変化を迫られているのでしょうか。

紺野:
 これまでと同じように運行しているだけでは、徐々に利用者は減っていってしまいますよね。前回、オリンピック開催を契機に都市をつくり変えることが多いという話が出ましたが、2012年のロンドン・オリンピック以降、既存の都市交通における新しい試みも行われました。例えばロンドンの地下鉄が24時間運行に変わったんです。なぜ24時間運行しているかというと、「夜の市場」に注目した。クリエイティブクラスの多様化する働き方を支えるためなんです。それだけでなく様々なデジタル化も進んでいます。

 例えばヘルシンキの地下鉄延伸ではAR(拡張現実技術)をいかに使うかなどの実験も行われています。こういった既存の交通サービスのイノベーションもますます重要になります。注目度が高まっているのが「地下鉄」です。ニューヨークの地下鉄では、Uberとの接続サービスを実験していたりするようです。地下鉄は都市の一部となっている、動くパブリックスペースだと言えます。

タイトルヘルシンキ地下鉄でのAR活用のプロトタイピング(アールト大学アーバンミル)

本村:
 クリエイティブクラスが自由に働くために、24時間地下鉄を運行すると。どのようなニーズを満たすための取り組みなのでしょうか。

紺野:
 グローバル化が進めば、地球の裏側の人とでも仕事やコミュニケーションをすることが増えるでしょう。例えば、「アムステルダムの仲間と一緒に新しくプロジェクトを立ち上げよう」と思った時に、時差があるからミーティングが夜中になってしまうことがある。オフィスで夜中にミーティングをして、そのままナイトライフを楽しむなど、9時に出勤して17時に退勤するようなライフスタイルに合わせた鉄道ではなく、24時間運行しているメトロやUberのような新しいモビリティが有効になりますよね。

本村:
 働き方の変化は、都市交通にも大きく影響を与えているんですね。日本も2020年にオリンピックを控えていて、それがイノベーションを起こすための起爆剤になるんじゃないかと期待しています。

紺野 登紺野 登 氏(多摩大学大学院教授、慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授、KIRO(知識イノベーション研究所)代表。一般社団法人Future Center Alliance Japan (FCAJ)代表、一般社団法人Japan Innovation Network代表)
早稲田大学理工学部建築学科卒業、博士(経営情報学)。「知識生態学」をテーマに、リーダーシップ教育、組織変革、都市開発、ワークプレイス・デザインなどの実務にかかわるとともに、イノベーション経営、フューチャーセンターやリビングラボなどの場の啓蒙普及に取り組んでいる。著書には『ビジネスのためのデザイン思考』、『知識創造経営のプリンシプル』『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか(目的工学)』などがある。

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