「テクノロジー×リベラルアーツ」で“ゆたかな世界”を実装する
「テクノプレナーシップ」とはなにか。大林氏によると、「テクノロジー」と「アントレプレナーシップ」をかけ合わせた造語で、ITの可能性やSTEM教育(Science、Technology、 Engineering、Mathematics、つまり科学・技術・工学・数学分野の教育)の重要性が強調されるようになった90年代に使われ始めた言葉だ。
ABEJAでは、元来の意味に「リベラルアーツ」を付加した独自の「テクノプレナーシップ」を信条としている。これは近年のSTEMにArtの”A”を加えたSTEAM教育ともリンクしているという。
大林氏は、「ゆたかな世界を、実装する」という同社のタグラインを例に、ABEJA流のテクノプレナーシップの思想を説明した。
『実装する』というのは、もちろんテクノロジーによってということですが、『ゆたかな世界を』の『ゆたか』というのは、すごく主観的な問題です。誰にとって『ゆたか』なのかとか、自分にとって『ゆたか』なことが他の人にも『ゆたか』なのかとか、いろいろわからないことがあると思います。それを問い続けるという意味で、『ゆたかな世界』という言い方をしているんです(大林氏)
岡田氏がテクノロジーだけでなくリベラルアーツも重視するのは、ABEJAを創業する前にシリコンバレーのカルチャーに刺激を受けたことがきっかけになっている。
シリコンバレーで出会ったアントレプレナーや投資家の方々には、リベラルアーツ的なカルチャーがありました。高度なテクノロジーがたくさん出てくる中で、それをどうやって社会実装して人の生活や社会に影響を及ぼすかということに、彼らはすごくワクワクしているんです。単に起業して儲かればOKということではないんですね。
これが私にとっては衝撃的で、当時イノベーションであったディープラーニングでどうやって「ゆたかな世界」を実装していけばいいのかということを考え、ABEJAという会社を作るに至りました。リベラルアーツを実践していかなきゃいけないな、と思ったんです(岡田氏)