実験力が最大のイノベータの強みである
イノベータDNAモデルの「Q×ONE×A」の中で、イノベータと非イノベータを最も区別する能力は実験力(Experimenting)である。「実験」と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのは、白衣を着た科学者や研究者だが、ビジネスの世界のイノベータは試作品や試験運用を行い、現実の世界から多くのフィードバックを得ている。質問、観察、人脈づくりは過去と現在を教えてくれるが、未来の可能性を知るためには、実験が一番有効な方法となる。
ジェフ・ベゾスは、インターネットの利用率の伸びが2,300%と、凄まじい勢いで成長していたことに事業機会を感じていた。世界中の人々がインターネット経由で商品を購入する未来を想像し、「店でよりも通信販売で買いたいものは何だろう?」という問いを立て、「消費者はよく知った標準的な商品を通販で買う傾向にある」と結論づけた。その後は、計画的な緻密な実験を繰り返し、「地球最大の書店」を実現した。その後も、倉庫とフルフィルメントを自前にしたり、電子書籍端末を発売したりと様々な実験を繰り返し、今や重要な収益源となっているAWSも生み出した。こうした弛まぬ実験の繰り返しこそが今のアマゾンを気づいた要因になっている。