創業者だけが多くの株式を持つことの問題点
小林:もうひとつ、私がスタートアップに期待するのは、インセンティブ設計に対する意識です。中神さんが問題視されている、労働分配率を下げながらROAを維持していくこれまでの日本企業のやり方に近いもの、つまり人件費などを下げて利益を捻出することが、スタートアップでも起きがちです。これについては改善に向かっていると感じてはいますが、一方で「スタートアップだから給料は低くて当然」という考え方もまだまだ根強くあったりします。
従業員に対してきちんとフェアプライスで報酬を支払い、成功したときは経営者も従業員も一緒にリターンをエンジョイすべきです。ですが、日本はストックオプション(SO)の分配率が低い。アメリカは20%ぐらい配布するケースも見られますが、日本はだいたい10%が一般的で、最近ようやく15%程度になりました。稀有な事例がメルカリで、突出して高く、約20%[1]なんですけどね。