組織の中に主役である社員の「位置」と「役割」を取り戻す
宇田川:僕は最近、ドラッカーがすごく好きなんです。昔はあまり読まなかったんですけど、今になって「すごい人だ」と気づいたんですよね。
もともとは政治思想家で、研究テーマは「ファシズムと共産主義はどうしてヨーロッパで機能しないのか」ということでした。そして最初の著作である『「経済人」の終わり』で、ファシズムや共産主義は人々に「位置」と「役割」を提供しないから機能しないのだと言っています。たとえ経済的には潤っていても、社会の中に自分の「位置」と「役割」がなかったら、それに何の意味があるのかと。その「位置」と「役割」を作っていくのが社会の重要な機能で、それを担うのが企業だという主張が、その後の彼のマネジメント論で展開されていくんです。