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P&Gの「コンシューマーがボス」という組織文化とジョブ理論──オープンイノベーションが成功する理由

ゲスト:P&Gイノベーション合同会社 ラーダーキリシュナン・ナーヤ氏

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「コンシューマーがボス」というP&Gの組織文化

山田 竜也(以下、敬称略):P&Gでは「Connect + Develop」というオープンイノベーションの取り組みを軸に、長期にわたり成果を上げつづけています。その成功理由とはなんでしょうか?

ラーダーキリシュナン・ナーヤ博士(以下、敬称略):オープンイノベーションについて話す前に、P&Gにおけるイノベーションの位置付けを説明させてください。P&Gはマーケティングの会社というイメージが強いかもしれませんが、短期のマーケティング活動と何十年にもわたって勝ち続けるためのイノベーションが補完しあっているイノベーションカンパニーです。

Promotions win quarters, Innovations with Decades.
Innovation is P&G’s Life Blood.

プロモーションは四半期の勝利、イノベーションは10年の勝利。
イノベーションはP&Gの命をつなぐ血。

 上記の言葉のように、P&Gがトップに居続ける理由はイノベーションへの取り組みが大きな理由なのです。P&Gでは、成長のための全社イノベーション戦略があり、オープンイノベーションはイノベーション戦略の一翼を担うものでしかありません。

山田:P&Gのイノベーション戦略に関して、いくつかポイントを教えていただけますか。

ナーヤ:P&Gにとってイノベーションとは、「消費者のために優れた価値を創造する」(Innovation is about creating superior value for consumers)ことだと定義されています。また、P&Gは数万件の特許を保有するテクノロジー企業でもありますが、「消費者から全てが始まる」(Everything starts from consumer)という考え方が浸透しています。この考え方を実現する際に社内リソースが無い場合は、オープンイノベーションを活用します。ここでいうリソースとは、テクノロジーだけでなくビジネスモデル、デリバリーテクノロジー、サブスクリプションモデルと様々なものが含まれます。

 特に私たちが意識しているのは「コンシューマーがボス」(Consumer is boss)という考え方です。

  • Consumer at the center of everything we do.
    私たちの行動の中心には、いつも消費者が存在する。
  • Consumer at the heart of every business decision.
    私たちのビジネス判断には、いつも消費者が存在する。

 このように大事にしていることがはっきりしているため、必要なものは外からでも調達するという行動、つまりオープンイノベーションという選択肢が手段として採用しやすいのかもしれません。

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山田 竜也(ヤマダ タツヤ)

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