日本企業のDX推進で求められる人材
──DXの取り組みが各社で進んでいます。STANDARD様はあらゆる業界の650社以上を支援されてきましたが、最近の傾向として各社の要望にどのような特徴があると感じていらっしゃいますか?
吉原弘峰氏(以下、敬称略):各社経営陣を筆頭として、DXに対する期待が非常に大きくなっているのを感じます。取り組みが加速し、それに合わせて収益効果、コスト改善効果への期待が高まっていますね。それから「ヒト」にまつわる期待が高まっているのを感じます。
DXの取り組みフェーズにもよるのですが、初期段階としてデジタルツール導入を行う企業の場合は、現場社員がツールを使いこなすための雰囲気醸成を行い、DXに対して前向きな組織作りが求められています。一方で、DX推進が先行している企業の場合は、DX推進部などを設置してそこが推進役を担うことが多いですが、DX推進部だけがプロジェクトを行う場合は「アイデア数」や「プロジェクト数」が課題となっています。DX推進部以外の社員を巻き込んで全社的な取り組みにしていくことが求められているようです。
──デジタルツール導入段階を「DX」とは呼ばない企業もありますね。御社はどのようにDXを定義しているのでしょうか。
吉原:弊社はDXを比較的広義で捉えています。自社課題でもエンドユーザーの課題でも、なんらかの課題をデジタルで解決することであれば、すべてDXと捉えています。ツール導入もデジタルを使った事業の変革もDXです。
DXというと、「トランスフォーメーション」、つまり事業がガラリと変わるような変革が必要だと言われることも多いですが、これは一朝一夕では生まれないものであることを認識する必要があります。小さくても地道なデジタルによる改善が全社で起こるとしたら、特に大企業の場合は足し算をすると大きな変革量を生みますよね。また、件数が多ければ多いほど、トランスフォーメーションを起こすプロジェクトが生まれる確率が高くなります。1つのプロジェクトでトランスフォーメーションを起こす必要はなく、まずは第一歩として小さな変革を起こせることが重要だと思っています。それは、弊社が「ヒト起点のデジタル変革をスタンダードにする」をミッションに、支援先企業がDXで自走できるようにとご支援をしていることとも関係があります。