グッドパッチと北海道上川郡上川町(以下、上川町)は2023年8月23日、「未来共創パートナーシップ協定」を締結した。
同協定は、デザインファームであるグッドパッチのデザイン視点や知見と、上川町が持つ資源を活かし、新たなまちづくりの実現と地域課題の解決を目指した包括連携提携。あわせて、上川町のコミュニティを活用した企業向け人材開発型ワーケーション事業を開始するという。
北海道は、人口減少や高齢化など社会課題の先進地域であり、中でも上川町は最盛期の人口から80%減少するなど深刻化しているという。近年、上川町では官民の垣根を越えた独自のパートナーシップの取り組みを進め、この課題の解決に向けて取り組んでいるとしている。
グッドパッチでも、自治体職員やまちづくりに関わる町民へのデザイン思考ワークショップを2022年6月に実施したことを皮切りに、実際に社員が移住し、町民へのデザインリサーチを実施するなど、上川町が抱える地域課題の解決に向けた施策を行ってきたという。
協定における主な連携項目
「循環型の地域づくり」をキーワードに、次の3つの力を活用し、地域内外での社会実装などを推進する。
- デザインの力:デザインの力を活用した地域内外に向けたサービスの創出や高付加価値化
- デジタルの力:デジタルの力を活用した地域内ベーシックインフラサービスの維持改善
- コミュニティの力:コミュニティの力を活用した誰もが輝ける地域社会の実現
上川町の地域課題をテーマとしたワーケーション事業を開始
グッドパッチと上川町による第一弾の共創の取り組みとして、上川町のコミュニティを活用した人材開発型ワーケーション事業を開始。
このワーケーションでは、上川町に複数日滞在し、地域課題の解決にあたる町民の話を聞き、仕事を実体験する「弟子入り」型の研修プログラムを通じて、自律型人材に必要な「アントレプレナーシップ」を養うという。
受講者は、地場酒造の社長や保全型林業に取り組む住民など、町民との交流を通じて地域課題に直接触れながら、上川町の未来を作るべく機会を追求する姿勢を体感。町民の考え方だけでなく、生き方も含めてインプットした体験を基に、グッドパッチのデザイナーとの対話やワークを通して、自分たちの働く意味や目標を再確認し、自らの意志に準じてビジネスに取り組む人材への成長を促進していくプログラムだとしている。
施策の背景
従来の企業研修では起業家に直接触れることは難しく、学びの機会は限られているのが現状だという。
グッドパッチでは、移住したデザイナーによる上川町民への6ヵ月間のリサーチを通じて、新しい文化や変化を受け入れる風土、そして自らの意志に準じて生活し、事業を生み出すリーダーが多いことに着目し、「ビジネスパーソンの学びの場」としてデザイン。
上川町としても、幅広い世代の町民が関係人口の創出に向けた関係構築を持つ機会を得ることで、地域資源を生かしたサービスの創出の実現に向けた対話の機会としても期待できると考えていると述べている。
同ワーケーション事業の開始に先立ち、丸井グループの企業研修を2023年8月上旬に4泊5日にて実施しており、今秋以降も同社の研修プログラムを継続する予定だという。