21世紀のイノベーターが持つべき問いとは
本講演の最後のテーマは「21世紀のイノベーターはどうあるべきか」だった。阿部氏は、イノベーターにとって重要な問いとして「テクノロジーと社会がいかに共存するか」を掲げた。特に今は、VUCAワールドであり、DXが求められ、コロナ禍もあり……という劇的な変化に直面し、自分自身を今一度見つめ直し、テクノロジーが可能にする社会モデル全体について考える時期にあるという。
阿部氏によれば、デジタル技術などの最先端の技術はすぐに社会システムなどの現状を置き去りにしてしまう。言い換えれば技術の進歩に、法律やルール、規制など社会システムが全く追いつかない状態が生まれる。そのため、政府機関などの規制当局を巻き込み、社会のために必要となれば競合企業も含む利害関係者(ステークホルダー)の信頼を得て、産業システム全体の発展を促すエコシステムを構築する、これこそが21世紀のイノベーターの使命であるというのが阿部氏の主張だ。