まずは「アイデアを共創する楽しさ」を浸透させる
アイデアソンとは、何人かが集まってグループとなり、決められた時間内にアイデアを出し合ってブラッシュアップを行い、その結果を競い合うイベントのこと。取り組みの効果として、主に「①非日常時間でのマインドリセットがかなう、②心理的安全を感じられるクローズドな空間、③『アイデアを共創した』という成功体験」が期待できる。
そして、これらの効果をより確実に得るために以下のようなコツがあるという。
- ① 非日常時間でのマインドリセットがかなう:「いつもの顔ぶれ」ではなく、普段はなかなか会えない人同士で行なうことが重要
- ② 心理的安全を感じられるクローズドな空間:業務の一部としてではなく、「将来のために自由にアイデアを出す」という演出が肝要
- ③ 「アイデアを共創した」という成功体験:みんなでアイデアを出し合ったという実感と、日々の業務に活かせると感じられること
ところで、山口氏はなぜアイデアソンという手法と、インキュデータというパートナーを選んだのか。同氏は、その経緯を振り返った。
まず、社内のつながりを醸成するための研修の設計に乗り出したICT本部の研修事務局チームは、「研修の後にもみんながつながり続けるためにはどうしたらいいか」を考えた。必ずしもコミュニケーションが得意なメンバーばかりではないため、“熱い想い”と持っている“技術”をフックにして、互いに距離を縮める方法を模索したという。その中で、一緒になって解決の手段を考えてくれるパートナーを探していたところ、インキュデータの「取り組みを継続していくには『楽しさ=Have Fun!』が必要だ」という考えに共感し、依頼を決意したと山口氏は語る。
こうして、ICT本部の研修事務局とインキュデータのコンサルタントチームは、協力し合いアイデアソンを計画、実施するに至った。具体的には、ICT本部員のうち40代未満の若手を対象に、「アイデアを共創する楽しさ」をチームで体感できるプログラムを2日間のイベントを2グループ、2回に分けて行うことにした。
プログラムを実施するにあたり、事前に目的が「人脈形成」であることを共有し、「研修後も続く新しい人脈を2人」という定量的な目標と、「常にコミュニケーションをとり共に課題に取り組む」「所属が違っても悩みを共有し、自発的にアイデアを発信し合う」というマインド面の定性的な目標を共有したという両社。次に、具体的なプログラムの中身と経過を紹介した。