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組織戦略としてのデザイン

パナソニックのデザイン組織が実践した、未来と顧客を起点とするUXの浸透 戦略の実行と変革の現在地とは

【前編】パナソニック株式会社 デザイン本部 戦略統括室/Panasonic Design London ディレクター 池田武央氏

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「デザインリテラシー」と「信頼関係」の2つの軸で現在地を把握する

栗原:入社後から組織全体に広義のデザインを普及していくまでの過程を、どのように総括されますか。

池田:入社後からの活動は、大まかに2つの軸で整理できると思います。「デザイン機能に対するリテラシーがある/ない」と「信頼関係がある/ない」の2つです。

 これまでお話してきた活動は、組織を「デザイン機能に対するリテラシーがない、かつ信頼関係がない」から「デザイン機能に対するリテラシーがあるかつ信頼関係がある」に移行させていく過程だったと考えています。ADRを通じてVISION UXや360UXなどのフレームワークを浸透させることでデザイン機能に対するリテラシー向上を促し、その一方で私をはじめとしたデザイナーが事業部や階層を超えた対話の機会を増やすことで、組織内の信頼関係を構築していきました。

「広義のデザイン」を浸透させる仕組み
「広義のデザイン」を浸透させる仕組み/クリックすると拡大します

栗原:先ほどからお話されている通り、デザインへの理解だけでなく、信頼関係の醸成も重要だということですね。

池田:はい。どの組織にも共通すると思いますが、デザインの活動が特定の部門やプロセスに留まっている状態とは、すなわち「デザインの理解も信頼もない」状態です。そこから広義のデザインを根付かせるには、デザインの機能についてのリテラシーを底上げするのはもちろん、デザインに対する信頼も醸成しなければいけません。だからこそ、デザイナーが積極的にネットワーキングすることも重要ですし、個別のプロジェクトでデザインの価値を知らしめるような成果を出す必要があります。

 また、経営層など上位階層への働きかけも欠かせません。いわゆる「トップ外交」ですね。この点については、私ではなく臼井が果たした役割が非常に大きいです。

栗原:信頼関係を醸成するうえで特に意識すべきポイントはありますか。

池田:いかに対話を促すかではないでしょうか。たとえば、経営層や事業部のメンバーを招いて会議を行うとしたら、自然と対話が促されるような設計を心がけるべきです。いくら対面でコミュニケーションする機会を設けても、役職の上位者から順番にコメントするような会議では、デザインに対する関心や興味も生まれないと思います。

 どうやって参加者それぞれが意見を表明しやすい環境を築くかがポイントではないでしょうか。その点、デザイナーには質の高いファシリテーションに欠かせない可視化スキルが備わっていることが多いです。ファシリテーターとしてコミュニケーションを促し、経営課題を可視化することで、デザインへの信頼の土台を築いていくのも、デザイナーの役目だと思います。

栗原:後編では、直近3~4年の欧州を拠点としたデザイン組織の活動をお聞きできればと思います。

栗原茂
(右)Biz/Zine編集部・コンテンツプロデューサー 栗原茂

※後編記事は8月27日(水)以降に公開予定です。

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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