まずは、「あなたの評判の可視化」が始まっていることを理解しよう
今回ご紹介する書籍は、『勝手に選別される世界――ネットの「評判」がリアルを支配するとき、あなたの人生はどう変わるのか』(マイケル・ファーティック (著), デビッド・トンプソン (著), 中里 京子 (翻訳) /ダイヤモンド社)です。
著者のマイケル・ファーティック氏とデビッド・トンプソン氏は、デジタル・レピュテーションと個人情報保護管理の分野で世界をリードするレピュテーション・ドットコム社の創業者かつ最高経営責任者(ファーテック氏)と初代法律顧問かつ個人情報保護管理責任者(トンプソン氏)です。特にファーテック氏は、データ保護と評判の擁護における世界的権威で、世界経済フォーラムのテクノロジー・パイオニア賞を受賞し、これから注目すべき、「レピュテーション・エコノミー」の第一人者です。
「レピュテーション・エコノミー」が生まれる背景
いつの時代でも「評判」は重要です。近所での評判、社内での評判、etc……。今、ことさらに評判(レピュテーション)がなぜ重要になっているのか。それは、ネット接続環境にある、あなたも私も含めた多くの人々のさまざまな評判が、デジタルテクノロジーの急激な進化により、その足跡(フットプリント)がデジタルに保管され、多くの他人に可視化されてしまう時代だからです。
その背景をもう少しみていきましょう。それは、デジタルストレージが実質的にタダに近づき、データの保管、それも「ビッグデータ」級の保管を可能とし、そのデータを分析するソフトウェアの利用も廉価に、限界費用ゼロに近づいているからです。ビッグデータそのものは大量のデータの塊にすぎませんが、そのデータの分析、つまり「ビッグ・アナリシス」から多くの価値か生まれる時代です。
本書では、いくつかの領域を例にそのインパクトを解説しています。本コラムでは特に、「ほぼ機械が意思決定をする採用」を語った4章、「スキルの見える化」を語った5章、「学位と雇用の関係性の変化」を語った6章を中心に、その内容をみていきます。また、本コラム最終ページには、本書に登場するレピュテーション・エコノミーのお手本企業のURLを紹介します。
では、次のページから具体的に「レピュテーション・エコノミー」の一部をみていきましょう。