2026年3月16日、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)は、エーザイが進める人的資本情報の開示とそれを起点とした経営変革の取り組みを、3年にわたり支援したことを発表した。エーザイはこれまで、企業理念や事業活動の透明性を重視する一方で、人的資本に関する情報発信が不足しているという課題を認識していた。この課題解決のため、2023年7月に初の「Human Capital Report」を発表し、以降毎年継続して同レポートを発行している。

エーザイの人的資本開示の特徴は、単なる情報開示にとどまらず、自社の課題を整理・分析し、次のアクションへつなげることにある。EYSCはこれに対し、開示方針や全体構成の整理、現状と目指す姿の差異を把握する指標(KPI)の設計・分析、翌年度以降の施策・戦略検討に対する助言などを通じて支援を展開した。特に2023年度版のレポートでは、強みだけでなく課題や弱点も率直に開示し、その内容を翌年度以降の施策検討の材料とする方針を明確にした。
2024年度以降は、情報開示の主な対象を社員に転換。社員参加型のレポート制作、独自指標「E-HCI(Eisai Human Capital Index)」やパルスサーベイを用い、取り組みの継続的な分析や改善に取り組んできた。この過程を通じて、社員の認知度や当事者意識の向上、人事施策の優先順位明確化、さらには他社との対話や外部評価の拡大など、人的資本経営の進化につながる変化が生まれている。
人的資本情報の開示が終点ではなく、社内外からのフィードバックやデータ分析をもとにPDCAサイクルを回し続けることで、開示内容が次の戦略や実行につながる「好循環」の定着も進んでいる。EYSC パートナーの水野昭徳氏は、「2023年の人的資本情報開示義務化以降、エーザイは人的資本経営を進化させ続けてきた。今後も日本企業における人的資本経営推進に貢献していく」とコメントしている。
この取り組みは、人的資本開示が経営における具体的行動や変革意識の向上へと導き、持続的価値創出に寄与する好事例といえる。今後、経営企画部門が自社変革や新規事業に人的資本情報を活用する際の参考となるだろう。
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