「若い女だから」という理不尽を、這い上がるための着火剤に
椿:スピンアウトを決めた後、具体的にどのような壁にぶつかったのでしょうか。他のインタビューでも「女性であることで苦労した」というエピソードを拝見しました。
山下:スピンアウトの前後にかけての話なのですが、「若い女性だからできないだろう」と軽く見られることがありました。「いろんな偉い人に会わせるよ」と言われて会食に行ったら、明らかな下心を感じるような少し危険な場だったこともあります。「自分の力だけでは成果を出せないのか」「こういうことを受け入れないと上に行けないのか」と、キャリアを諦めかけた時期もありました。
椿:それは……。社内にいるだけでは気づかない、外の世界の理不尽さですね。私も20代でカンファレンスに登壇するようになると、男性からの嫉妬のようなものを向けられることがありました。
山下:ドコモ在籍時の配属部署ではそんな経験は一切なかったのですが、一歩外に出るとそういう人もいるんだと知りました。でも、共同創業者に相談すると、「だったら、このReCuteを成功させて、そいつらをギャフンと言わせよう」と言ってくれたんです。
椿:マイナスの感情をエネルギーに変えたのですね。
山下:はい。「こういう若い女性でも企業を作って、きちんとサービスを伸ばして、ゆくゆくは上場まで行けるんだぞ」ということを証明したい。簡単に辞めるわけにはいかないという、強烈な反骨心が生まれました。
20代での社長就任で直面したマネジメントの壁
椿:私も24歳で事業責任者になった際一番苦労したのは「マネジメント」でした。山下さんはその点、いかがでしたか?
山下:私も後輩が1人もできないまま入社4年目で社長になってしまったので、マネジメントは本当に手探りでした。特に、システムやハードウェアを作るエンジニアの方々は、本業でドコモに勤めている私より年上で経験豊富な男性たちです。意図的ではないアンコンシャスバイアスもあってか、私の要望が少し軽く捉えられてしまうこともありました。
椿:そこで、共同創業者の方の存在が大きかったのですね。
山下:まさにそうです。私の5つ上の先輩で、社内の新規事業研修のメンターとして出会いました。私が「どうしてもヘアアイロンの事業がやりたい」と相談すると、彼自身もユーザーヒアリングをして「女性が熱狂的に求めている。これは何かある」と感じてジョインしてくれました。

椿:どのような役割分担をしているのですか?
山下:私がビジョンを描いたり、営業や資金調達で外を回ったりしており、彼はCOOとして数字を細かく見たり、ハードウェア製造のオペレーションを組んだり、戦略を立ててくれています。彼がいなかったら、今の組織は絶対に作れていなかったと思います。
椿:採用の面でも、ドコモ出身という繋がりが活きているそうですね。
山下:はい、初期のメンバーは全員リファラルです。大企業でしっかりと社会人経験を積んだバックグラウンドが共通しているので、「1言えば10わかる」コミュニケーションができ、組織作りにおいて非常に助かっています。
