三菱電機は2026年5月29日、2026年度以降の新たな「新中期経営戦略」を発表した。同社は2021年度から進めてきた構造改革フェーズから「事業モデル変革」のフェーズへと移行し、独自の「循環型 デジタル・エンジニアリング」事業を本格展開することで、さらなる企業価値向上を目指す。
同戦略における2030年度の財務目標として、調整後営業利益率「12%以上」(25年度実績:8.5%)、ROE「12%」(25年度実績:9.7%)、25年度〜30年度の売上高年平均成長率(CAGR)「3〜5%」を掲げている。
現場ナレッジとAIを掛け合わせた注力3領域の強化
同社は、サステナビリティの実現に向け、市場機会や自社の技術アセットを背景にした「スマートエナジー」「オートメーション」「ディフェンス&スペース」の3領域を、全社で注力する領域として設定した。
事業戦略の核となるのは、同社の強みである豊富な現場ナレッジやものづくりの知見と、パートナーの最先端AI技術を組み合わせた独自の「Physical AI」である。コンポーネントの強化や保守DXなどを通じて顧客とつながり続けることでデータを継続的に獲得し、高度なソリューションを創出する安定的かつ高収益な収益構造の構築を推進する。
具体的な取り組み事例として、データセンターにおけるエネルギー効率最高水準(PUE1.1)の実現に向けた自律制御や、製造リアルタイムデータやAIエージェント、ヒューマノイドロボット等を活用した「無人化工場」の実現への挑戦などが挙げられている。また、これらの統合ソリューションを幅広い顧客へ展開できるよう「マイクロサービス化」を推進していく方針だ。
4.6兆円のキャピタル・アロケーションと人財投資
財務戦略においては、2026年度〜2030年度の5年間で合計4.6兆円のキャピタル・アロケーション計画を策定した。内訳として、強化事業への成長投資に2.0兆円、機動的なM&Aや出資を目的とした追加投資枠(DEレシオ0.3倍を目安にレバレッジも活用)に1.0兆円を配分。株主還元には1.6兆円を充て、総還元性向を従来の52%から「60%以上」へと拡大する。
また、これらの事業戦略実行を牽引する人的資本への投資についても従来の1.5倍に拡大する。2030年度のグループ・グローバル目標として、DX・AX人財を2万人に拡充するほか、従業員エンゲージメントスコア70%以上を達成することを目指す。
あわせて、事業モデル変革をリードする挑戦や共創のカルチャーを醸成すべく、企業理念(Purpose / Core Values)の改定も発表された。
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