基礎研究からイノベーションへ。ASAGI Labsが創るエコシステム
梶川:そうした課題感から、現在は一般財団法人ASAGI Labsの立ち上げにも関わられていますね。
山名:日本の最大の課題は、基礎研究から事業化へとつなぐイノベーションへの投資が集まらないことです。米国のように若手のアイデアや基礎研究にドカンと資金が入る仕組みが日本にはない。それを自分たちで補うために立ち上げたのがASAGI Labsです。
梶川:財団法人を中心としたユニークな組織構造をとられているそうですね。
山名:はい。トップに寄付集めや学会運営を担う「一般財団法人」を置き、その下で資金を稼ぐ「株式会社」、そして研究者に投資する「VC」を紐づけています。これは肥満薬で成功したノボノルディスクや、衣料品メーカーのパタゴニアのような構造で、単一のPL目標に縛られない財団やNPOがヘッドクォーターとなるモデルです。ASAGI Labsでは、大企業では拾いきれない基礎研究をサポートし、日本発のディープテックを世界へ届けるエコシステムを目指しています。
明治の事業基盤で実現。「食×薬」を融合する新事業の形
梶川:山名さんは現在、明治ホールディングスでも大規模な新事業の責任者を務められています。3つの組織に並行して携わられているのですね。
山名:実は2019年にNOMONでプロダクティブ・エイジングコンソーシアムを設立した際にも明治ホールディングスさんとは連携していたのですが、帝人での事業終了後、縁あって声をかけていただきました。明治は「食品」と「医薬品」という二大事業を持っていますが、その両方の強みを融合させた新事業創出が長年の課題でした。現在は時間の9割以上を明治での事業開発に注いでいます。
梶川:具体的にはどのような事業を目指されているのでしょうか。
山名:明治の最大の強みは、チョコレートや牛乳、ヨーグルト、ザバスなどに代表される「日常接点」の広さです。病気になってから薬で治すのではなく、日常の食生活を通じて病気前の不具合やノイズを消していく「エビデンスベースの食品」を届けるアプローチです。NOMON時代に扱っていたような高価で特別な成分を、明治の圧倒的な日常接点と事業基盤を使って、より広く社会に実装していく挑戦をしています。



