大企業の枠を超え、身近な食材をサイエンスで再定義する
梶川:どの所属先でも「老化制御」や「予防」というテーマが一貫していますね。山名さんの根底にあるビジョンをお聞かせください。
山名:一貫しているのは「気がつかないうちに、それさえ食べていれば健康でハッピーになれる世界」を作ることです。朝起きて体調が良ければ、ただの通勤路でも「桜が綺麗だな」と見える風景が変わる。そうした日常の体験を良くしたいんです。
梶川:今後、個人として挑戦してみたい構想はありますか?
山名:新しい成分を合成するだけでなく、おからや納豆のように歴史的に食べられてきた「伝統食」の価値を最新サイエンスで再定義し、直接届けるような小さな試みをやってみたいですね。たとえばダークチョコレートを週5日食べると糖尿病予防になるというエビデンスがありますが、それを日常の小鉢料理のような形で手軽に提供する。大企業だと「100億円の市場になるのか」と弾かれてしまうようなアイデアでも、気が合う仲間とアジャイルに試せるような取り組みに興味があります。

出世したいならやるな。辞める覚悟でアセットを使い倒せ
梶川:最後に、Biz/Zine読者である大企業の新規事業担当者やリーダー層に向けてアドバイスをお願いします。
山名:まず、「大企業で出世したい」「社長になりたい」と思っている人は、絶対に新規事業をやってはいけません。経営企画や管理部門に行くべきです。新規事業というのは社内政治や忖度抜きには前に進みません。突拍子もないアイデアを形にするには、「我慢したもん勝ちだ」と割り切って、社内政治も忖度もすべて飲み込む覚悟が必要です。頭を下げて前に進むならなんでもやるべきです。
梶川:現場で闘う担当者には非常に刺さる言葉です。
山名:ただ、それを生真面目にやるとメンタルがやられます。だからこそ、「いつでも辞めてやる」という心の余裕を持つことが不可欠です。副業でも転職活動でも外部コミュニティでも構いません。外の世界とつながっておくことで腹がくくれます。その覚悟を持った上で、世界を変えるような大きな事業を狙うなら、使えるものはなんでも使って「大企業のアセットを使い倒す」という気概で挑んでほしいですね。
梶川:基礎研究の知見、社長としての起業体験、そして大企業のスケールを活かした実践へ。山名氏のブレない軸と覚悟が伝わってきました。本日はありがとうございました。



