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財布をガッチャンコしてチャラにする「連結会計」の5ステップ──グループ経営管理で陥る「正論の罠」とは

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面倒の先にしかない“グループとしての実力値”

 これほど手間がかかるなら、「最初から会社なんて分けずに、1社単体で運営すればいいのでは?」と思うかもしれません。

 しかし、会社を小分けに独立させることには、それを上回る強力な事業上のメリットがあります。特定の事業にリソースを集中させたり、組織のカルチャーをガラリと変えて意思決定を高速化したり、「IT事業」「飲食事業」といった単位で分けることで、成果に対する責任範囲を明確にできるからです。

 だからこそ、会社を分ける痛みを引き受けた上で、グループ全体の業績を適切に把握するための「連結の視点」が不可欠になります。

 「それなら、利益の1行だけを反映する持分法で、もっと簡易的に管理できないか」という誘惑にかられることもあるでしょう。しかし、その方法では事業の実態にモザイクがかったように見えなくなります。どの会社でコストが異常に膨らんでいるのか、グループ内の取引によってどう損益が歪んでいるのかといった、「経営の急所」が隠れてしまうのです。

 この「連結して初めて見える化する怖さ」を示す、よくある事例をご紹介します。

 プロダクトAの製造を担う子会社A社は、毎年大黒字を出して表彰されていました。しかし、そのプロダクトを全量買い取って世の中に販売している親会社B社のセグメント損益を見ると、実は大赤字を垂れ流していました。A社の黒字は、親会社への「高い社内販売価格」によって作られた、身内だけの幻の黒字だったのです。

 このように、製造から販売までを一体の連結として捉えて初めて、「この事業はグループ全体で見て、本当に1円でも利益を生み出しているのか?」というリアルな実力値を正しく評価できるようになります。

「鳥の目」と「虫の目」を往復する参謀へ

 ここまで、グループの経営管理について主に財務会計(連結決算)の仕組みから解説してきました。しかし、経営企画にとって本当に重要なのは、この「グループ全体で利益を捉える」という思想を、日々の管理会計のコミュニケーションに落とし込むことです。

 日々の実務では、個社ごとに目標を追いかける「単体の視点(虫の目)」が基本になります。しかし、もし子会社の現場担当者が、自分の会社の売上目標を達成するためだけに「とりあえず親会社にたくさん買ってもらおう」と、中身のない社内販売を増やそうとしていたらどうでしょうか。

 今回の記事を読んだあなたなら、それがただの内部取引であり、グループ全体の成長には1ミリも貢献しない空回りの数字であることに気づき、ストップをかけられるはずです。

 たとえ子会社の経営企画であっても、単体だけの部分最適ではなく、グループ全体の利益最大化という全体最適(鳥の目)を前提に意思決定をナビゲートしなければなりません。もし現場がその空回りに気づいていなければ、経営企画が「その頑張りは素晴らしい。でもね、グループ全体という大きな地図で見ると、実は今こういう状態なんだよ」と、グループ全体の視点から現場と対話し、意思決定を支援する役割を担う必要があります。

 グループ経営における経営企画の役割とは、単体で現場の泥臭い動きに寄り添う視点と、連結でグループ全体を統合して俯瞰する視点、その両方をしなやかに行き来すること。

 この2つの目を手に入れたとき、あなたはただの煙たがられる「数字の取り立て屋」から、子会社の社長からも頼りにされる「本物のグループ参謀」へとステップアップできるのです。

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この記事の著者

冨田 貴大(トミダ タカヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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